会議での発言が男性より少ない女性たち。女性が男性よりも自信が持てない理由を科学する
過小評価する女性と過大評価する男性
「私たち女性が声をあげないことが、いつもとても悔しいです」アメリカ国務省管轄のアート・イン・エンバシー(世界中にあるアメリカ大使館にさまざまな現代美術の作品を展示するプログラム)のチーフ・キュレーターであり、現代美術の専門家でもあるヴァージニア・ショアは言う。
「私は絶対に自分は自信家だと思っていました。オフィスでの私はまさに戦士ですし、アートの世界にいると最高に居心地がいいですから。でも国務省での週一度の会議に出席するためにオフィスを一歩出たとたん、状況はがらっと変わってしまうんです。
会議室のテーブルについているのは男性ばかり。いつも30人ほどの男性のなかに数人の女性がいる、という状況なんです」彼女は、どこの会議室も似たような状況だという調査結果を聞いて、勇気づけられたようだった。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の社会心理学者ブレンダ・メイジャーは、何十年も前に、「自己認識」に関する問題を研究し始めた。
「まだ教授になりたてのころ、ジェンダーについての研究をしていました。その調査の一環で、様々なタスクやテストに対して、男女両方に、自分たちがどのくらいできると思うかという質問をしたんです」
彼女は、男性は常に自分の能力とそれに伴う成果を過大評価し、女性はいつも決まって過小評価することを発見した。
実際の成果は、男女とも質的にまったく変わらなかったという。「これは常に一貫性のある結果を得られる調査なんですよ」メイジャーはそう語った。
アメリカの反対側、イェール大学スクール・オブ・マネジメントのヴィクトリア・ブレスコルの講義室でも、同じようなことが毎日起こっていた。
昨今のビジネス界のトレンドとして、MBAの学生たちは、特に自信を前面に出す訓練を受ける。皆、成績優秀な学生たちなのに、多くの女子学生が自身に対する信頼に欠けているとわかったとき、ブレスコルはひどく驚いた。
「一流の仕事に就けるわけがないのだから挑戦しても無駄、という空気が女子学生たちのあいだに自然に蔓延してしまっているんです」彼女は説明した。「または、その分野に対して自分にそれほど能力はないと思うと、がんばろうとしなくなってしまう」
女子学生たちの問題は、そこであきらめて身を引いてしまうことだという。「彼女たちは競争の比較的少ない分野に行ってしまいます。たとえば人材開発とか、マーケティングとか。金融や、投資銀行、または幹部候補的なポジションという道には進もうとしません」
ブレスコルはそう教えてくれた。そして、他の多くの女性たちと同じように、ブレスコル自身も、同じ症候群に苦しめられたという。
「私自身、いつも、自分が本当に完璧にできたと思えるまで、必要以上に何度も確認せずにはいられないタイプでした」彼女は認めた。
「それに、同僚の男性よりも、一流の学術誌に論文がたくさん載らなければ、自分が彼らと同等だとは思えなかった。でも同時に、無意識のうちに自分の研究が一流の学術誌に掲載されるほどのものではないと、もう少し目標を低くしたほうがいいと、考えてしまう。
逆に、男性たちはたいていの男性は何事においても自分たちは最高だと思っていて、『俺を必要としないやつなんている?』と考えている」
キャティー・ケイ
BBC ワールドニュースアメリカのワシントン支局リポーター。NBC の報道番組ミート・ザ・プレスと、MSNBC(NBC とマイクロソフトが共同で設立したニュース専門放送局)のモーニング・ジョーにも出演している。現在はワシントンDC で夫と四人の子どもと暮らす。
クレア・シップマン
ABC ニュースおよび、グッド・モーニング・アメリカ(ABCの朝の報道番組)の特派員で、政治、国際関係、女性向けニュースを担当する。ワシントンDC で夫と二人の子ども、そしてやってきたばかりの子犬とともに暮らす。
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