最新記事
銃社会

狂気の時代を撃つ声──パブリック・エナミーの新曲「マーチ・マッドネス」が問うもの

It’s Time We Banned Firearms

2025年8月1日(金)15時46分
フレイバー・フレイブ(ヒップホップユニット「パブリック・エナミー」メンバー)
狂気の時代を撃つ声──パブリック・エナミーの新曲「マーチ・マッドネス」が問うもの

筆者のフレイバー・フレイブ(右)と相棒のチャックD SARA JAYE/GETTY IMAGES FOR THE ROCK AND ROLL HALL OF FAME

<銃撃事件が日常と化したアメリカ。恐怖と暴力の連鎖が社会を覆う中、ヒップホップユニット「パブリック・エナミー」のフレイバー・フレイブは、怒りではなく「対話」という新たな武器を取る>

「右、左、左、右、左!」

俺たちは「狂気」に向かって行進している。銃の暴力が広がるなかで、その流れを止めることも変えることもできそうにない。


だから俺は、パブリック・エナミーの相棒であるチャックDと一緒に、新曲「マーチ・マッドネス(狂気の行進)」を作った。本来は3月に始まる大学バスケの大会を指す言葉だが、俺たちにとっての「マーチ・マッドネス」は、政治的に右か左かってことじゃなく、人として何が正しくて何が間違っているかを、みんなで語るための合言葉だ。


いま一番危険にさらされているのは、子供たちだ。子供の命に値札を付けるような社会は、もう終わらせなくてはならない。

この曲は、学校で銃撃事件が起きて必死に助けを求める教師の911番通報から始まる。俺は子供たちを学校に送り出すたび不安になる。今の学校は安全じゃない。子供たちも安全じゃない。銃規制が甘いせいで、持ってはいけない人間の手に銃が渡っている。

俺にはよく分かる。銃のせいで刑務所に入ったことがあるからだ。これは俺自身の体験から話している。

かつて、銃とドラッグが黒人社会にばらまかれていた時代があった。あの頃は、銃とドラッグこそパワーだと教えられた。みんな銃を持っていた。同調圧力もあったし、ギャングの抗争から身を守るためにも必要に思えた。こうして(黒人市民が刑務所で無償労働させられるという)合法的な奴隷制度につながる犯罪のシステムが出来上がった。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中