最新記事
K-POP

NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

2024年4月22日(月)18時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
NewJeans

NewJeans、5月のカムバックは無事に行われるのか? Lee Young Ho/Sipa USA via Reuters Connect

<世界的に活躍するガールズグループの今後はどうなる?>

昨年夏、アップルiPhoneのCMに「ETA」が起用されグローバルな大ヒットとなったK-POPガールズグループNewJeans。5月下旬には久しぶりのオリジナル曲リリースでカムバックすることが予告され、それと同時に日本デビューも発表された彼女たちに突如として赤信号が灯った。所属事務所が監査を受け、代表のミン・ヒジンに辞任が要求されたのだ。韓国日報、韓国経済など韓国メディアが報じている。

【動画】NewJeansミンジが出演した韓国選挙広報CM

親会社HYBEが突然監査と代表の辞任要求

報道によると、NewJeansの所属会社アドア(ADOR)経営陣に対して親会社のハイブ(HYBE)が突然監査に着手した。ハイブは、アドアのミン·ヒジン代表らがハイブから独立する動きを見せたとして、監査権を発動した。

22日、音楽業界関係者によると、ハイブは同日午前、アドアのミン·ヒジン代表や同社経営陣の財務担当A氏などに対して監査を開始。ハイブは、A氏らが経営権を握り、投資誘致目的で社外秘の契約書などを流出するなど不法な試みがあったとして、証拠収集に乗り出したという。監査チーム所属のスタッフが、アドア経営陣の業務エリアを訪れ、会社のPCを回収。また関係者に対する対面でのインタビューに乗り出したという。これと同時にハイブ側は、アドア理事陣を相手に株主総会招集を要求する一方、ミン・ヒジン代表に対して辞任を要求する書簡も発送した。

アドアの理事陣たちは、ミン・ヒジン代表がSMエンターテインメント在職時代から親しくしていた側近として知らている。そのためアドア経営陣が株主総会招集要求に応じるかどうかは未知数だ。ハイブ側は、アドア側が株主総会の招集を拒否する場合、法的措置に乗り出す見通しだという。

ハイブ関係者はこの日、報道からの問い合わせに対し「アドア経営陣に対して監査権が発動されたことが事実だ」と伝えた。

音楽業界関係者によると最近、アドアのミン・ヒジン代表が、NewJeansとともに独立を準備中だという噂が流れ、経営権奪取説も浮上していた。それによると、ミン·ヒジン代表はハイブからの独立を模索し、投資家などと協議しハイブ所有のアドア株を買い入れる方法を探したという。

その過程で、ミン·ヒジン代表はハイブの内部情報まで入手。ハイブ出身のA氏を利用して非公開文書を横領した嫌疑がかかっている。

ハイブはすでにミン·ヒジン代表の不正行為の証拠を複数収集したものとされ、さらに社内パワハラなどに対する情報提供も入っていると伝えられている。

少女時代からNewJeansまで育てたミン・ヒジンはどうなる?

ミン・ヒジン代表が2021年に設立したハイブ傘下のレーベルであるアドアは、ハイブの持分率が80%、残りの20%はミン代表などアドア経営陣が保有している。アドアには現在NewJeansが所属しているほか、今後デビューする予定のボーイズグループの練習生らがいる。

現在活動しているグループがNewJeansだけではあるものの、K-POPを越えて世界的な大ヒットとなっているため、アドアへの監査着手、さらにミン・ヒジン代表への辞任要求というニュースは、BTSやLE SSERAFIMなど人気K-POPアイドルを擁するハイブの株価にも大きな影響を及ぼしている。今回の騒動が伝わるとハイブの株価は7%以上暴落した。韓国取引所によると、ハイブの株価は同日、前取引日対比7.81%(1万8000ウォン)下落した21万2500ウォン(約23,852円)で取引を終えた。 このような株価下落で、ハイブの時価総額は7,498億ウォン(約841億円)蒸発した。これはYGエンターテインメントの時価総額(8,187億ウォン)に匹敵する金額だという。

ミン・ヒジン代表は、かつてSMエンターテインメントで少女時代、SHINee、EXOなどのアイドルグループのコンセプトとブランディングを担当し、独創的なクリエイティブでアーティストたちを育て上げたスタークリエイターだ。彼女はBTSの生みの親であるパン・シヒョクに招かれてハイブに移籍した後、同社新社屋の空間ブランディングとデザインも担当。その後、新レーベル・アドアの代表に就任し、自らの陣頭指揮の下でNewJeansをデビューさせた。

NewJeansは2022年登場と同時に「Hype Boy」「Attention」「Ditto」「OMG」等、相次いでヒット曲を出し、韓国国内で各種音楽授賞式で大賞を受賞したのはもちろん、米国ビルボードメインアルバムチャート「ビルボード200」の1位を記録するなど、世界的に人気を集めている。

それだけに今回のハイブによるミン・ヒジン代表の辞任要求は、NewJeansの今後の活動にも大きな影響を与えるのではないかと懸念の声が上がっている。NewJeansは5月24日と6月21日にそれぞれ韓国と日本でダブルシングルを発売し、6月26・27日に東京ドームでファンミーティングを開催する計画になっていた。

*一部情報を追加しました(2024年4月22日18時時30分)

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中