最新記事

日本社会

香川照之、降板ラッシュよりも痛い最大の痛恨 「ヒール」は演技ではなく本当の姿?

2022年9月10日(土)11時00分
木村隆志(コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者) *東洋経済オンラインからの転載
TBSの香川照之と安住紳一郎の「THE TIME,」の看板

ちょうどキャスター就任から1周年を迎えるはずだった「THE TIME,」も降板に(東洋経済オンライン編集部撮影)

「デイリー新潮」の第1報から1週間あまり。香川照之さんをめぐる性加害騒動が沈静化に向かうどころか、ヒートアップしています。

所属事務所はすぐに謝罪コメントをリリースし、香川さんも金曜MCを務める「THE TIME,」(TBS系)で謝罪。その内容は断罪されるべきものである一方、3年前のことであり、被害者が訴えたのは香川さんではなくクラブのママで、被害者との示談が成立したであろうことなどから、その後の数日間はややトーンダウンしていました。

しかし、8月31日に「デイリー新潮」が"新証拠"として当時の写真を続報。さらに、「文春オンライン」もTBSのドラマ懇親会で女性スタッフに暴行を行った疑惑を報じたことで空気は一変しました。

9月1日、TBSは「THE TIME,」の降板を発表し、「香川照之の昆虫すごいぜ!」(NHK Eテレ)も今後の放送と再放送の予定がないことを発表。トヨタ自動車とセゾン自動車火災保険は出演CMの放送見合わせ、東洋水産とアリナミン製薬は契約終了を明らかにしました。

香川さんの行為については、強制わいせつ罪が疑われるほどであり、許されないものであることは明白。その是非を今さら採り上げる必要性はないでしょうが、だからこそ香川さんは、なぜこのような失敗を犯してしまったのか。そして、なぜ続報でのダメージをここまで大きなものにしてしまったのか。決して芸能人だけではなく、ビジネスパーソンの学びにもなるケースだけに、香川さんが犯した過ちの理由と回避方法を掘り下げていきます。

何度も変われるきっかけはあった

まず、なぜこのような過ちを犯してしまったのか。最大の問題は、そういう行為に至るリスクを自ら高めていたことです。

NHK党の参議院議員・ガーシーこと東谷義和さんが「香川さんは港区界隈、すべての店で出禁」「それを銀座が受け入れちゃったから、受け入れた以上そうなることはわかってたでしょ」などとコメントしたことが大きく報じられました。また、梅沢富美男さんも、「確かにそういう噂はいっぱいあったよ。いろいろな人から聞いた。酒癖が悪いって」などとコメント。それ以外でも香川さんは、これまで酒席での様子を報じられたことがありましたし、私自身も酒癖に関する噂話を業界内で何度か聞いたことがありました。

香川さんが今回の事態を招いた最大の理由は、さまざまな場所で噂話をされるほど酒癖が悪かったにもかかわらず、自分の行動を省みようとしなかったこと。現在56歳の香川さんには、何度も変われるチャンスはあったはずです。たとえば、自身が九代目市川中車、長男が五代目市川團子を襲名して歌舞伎に進出したとき、「半沢直樹」(TBS系)で急激に注目度を増したとき、その後CMオファーが続出したときなど、「もう変わらなければマズイ」と思えるタイミングではないでしょうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中