最新記事

ハングル

「韓国っぽ」なお菓子からおばあちゃんの手書き文字まで 無料ハングルフォント続々と

2021年3月1日(月)19時45分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国の食品メーカー「ビングレ」社は商品のロゴデザインをオリジナルフォントとして無料配布している。画像はビングレフォント・ウェブサイトから。

<フォントにはデザインの美しさだけでなく、歴史的な思いも込められていた>

ここ数年、韓国ではハングルのフォントの無料配布がブームである。とくに10月9日の「ハングルの日」前後には様々な企業が自社でデザインしたフォントを無料配布するニュースを見かけることが多い。

「ハングルの日(한글날)」は、1927年に韓国で制定された。1970年から1989年まで祝日だったが、1990年からは平日になっていた。しかし、2012年に休日再指定案が発議され、2013年には休日として復活している。趣旨としては、ハングルを作り出した朝鮮王朝第4代国王の世宗大王を称える日であるともに、ハングルを世界に広めようという日でもある。

そういった「ハングルを普及させる」という意味でも、ここ数年ハングルの日に合わせ、様ざまな企業や団体がマーケティングの一環としてユニークなオリジナルフォントを一般に向けて無料配布しているのである。

"韓国っぽ"な鯛焼きアイス「プンオッサマンコ」のフォント

ユニークなフォント配布の一例を紹介しよう。韓国旅行に行ったことある人や、韓国映画・ドラマを見たことある人にはおなじみのバナナ牛乳。これを発売している韓国の食品メーカー「ビングレ」社は、ここ5年連続で自社製品のためにデザインされたオリジナルフォントを専用サイトで公開している

去年のハングルの日には、1991年から販売している鯛焼きのような人気アイスクリーム商品「プンオッサマンコ」のロゴフォントが配布された。太字で丸々としてかわいい文字はユニークで、5カ月経った今でも人気で、多くの人にダウンロードされているという。ちなみにビングレ社のフォントにはハングルのほか、半角英数字、そしてなんとひらがなとカタカナも含まれているので、気になる人は実際に使ってみると面白いだろう。

民族の誇りが込められたフォントも

文字に熱い思いが込められたフォントを無料配布しているのは、忠淸南道の天安市にある「独立記念館」だ。1月27日、独立記念館は館内で使用されているオリジナルフォントを一般ダウンロードできるように公開すると発表した。

記念館内で使われているフォントがオリジナル製作された物だということもびっくりだが、実はこの字体、韓国内の民族運動を世界に知らせようと発行された「独立新聞」上海版と、在米韓国人向けの新聞「新韓民報」の字をモチーフに作られているという。

当時の印刷用ハングル・フォントを元に、現代でも読みやすくデザインされた書体であり、館内の展示説明やパンフレットに使用されている。独立運動の精神を伝えようという気持ちが1文字1文字に込められている力強いデザインだ。今でも独立記念館の公式ホームページやネイバーフォントでダウンロードできるようになっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシア装甲車2台...同時に地雷を踏んだ瞬間をウクライナが公開

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 8

    これ以上の「動員」は無理か...プーチン大統領、「現…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中