最新記事

トレーニング

ジム通いもプロテインも不要な「塀の中の筋トレ法」が日本上陸

2017年8月25日(金)11時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

著者には、キャリステニクスの師匠がいた。ジョーという終身刑囚だ。片手の親指だけでプッシュアップ(腕立て伏せ)をこなし、「悪魔のように強かった」らしいが、塀の中で息絶えた。

何のために、日々苦しみ抜いて体を鍛えたのか。犯した過ちへの反省、被害者への償い、最初のうちはそんな殊勝な動機も込められていたかもしれないが、いつしかトレーニング自体が「生きている証」で「誇りの源泉」であり、「友を作る手段」へと転化していったに違いない。

プッシュアップ(腕立て伏せ)だけで10ステップ

本書では、以下の6種目(ビッグ6)について、それぞれ10のステップが紹介されている。

●鎧のような胸をつくり、関節や腱を強化する「プッシュアップ(腕立て伏せ)」
●エレベーターケーブルのような太ももをつくり、足腰の若さを保つ「スクワット」
●大砲のような上腕をつくり、広背筋の眠りを覚ます「プルアップ(懸垂)」
●腹を殴ってきた拳のほうが痛くなるほど頑丈な"地獄のシックスパック"をつくる「レッグレイズ(脚挙げ)」
●筋トレ愛好家ですら軽視しがちな背骨を鍛える「ブリッジ」
●男性性を純粋にアピールする健康的でパワフルな肩をつくる「ハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ち腕立て伏せ)」

この「ビッグ6」は、解剖学や運動療法に基づき、人体すべての筋肉を働かせる基本動作で、6つの動作が融け合ってひとつになる。6つを超えるトレーニングはやり過ぎで、5つ以下だと、体のどこかに未発達の筋肉ができてしまうのだという。

各ステップごとに見開き2ページでまとめられ、写真や、時にイラストも交えて分かりやすく説明されている。どのような動きが要求されているのか、理解できずに戸惑うことはまずないだろう。

終盤では、筋肉を極限まで追い込まないこと、飲酒を控えること、トレーニング記録を取ることの大切さなども綴られている。

プッシュアップだけで10種類だ。その数字だけを見ると相当マニアックな筋トレ本に思えて、おじけづいてしまいそうだが、心配は無用である。誰もが知っている普通の腕立て伏せ(フル・プッシュアップ)よりも負荷が小さい4種のプッシュアップが載っており、筋トレに自信のない初心者にも入りやすい、意外と優しい構成となっている。

なお、本書をパラパラと読んで、ステップ5のフル・プッシュアップから始めようとするのは、近いうちに挫折する「馬鹿げたやり方」だと、著者は断言する。

convictbook170825_1.jpg
convictbook170825_2.jpg

ステップ5のフル・プッシュアップ(『プリズナートレーニング』81ページ)

遠回りだと感じられても、まずは最も簡単なステップ 1のウォール・プッシュアップに1カ月間こだわるべきだという。簡単にこなせても侮らず、丁寧に1回1回を噛みしめることが重要だ。

convictbook170825_3.jpg
convictbook170825_4.jpg

ステップ 1のウォール・プッシュアップ(『プリズナートレーニング』73ページ)

【参考記事】 4時間で肉体改造した男

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米共和党州司法長官、ユニオン・パシフィックのノーフ

ワールド

トランプ氏、ベネズエラと協議開始の可能性示唆

ワールド

米FAA、国内線の減便措置終了へ 人員巡る懸念緩和

ワールド

タイGDP、第3四半期は前年比+1.2% 4年ぶり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中