最新記事
投資

日本株の6割以上を売買する「外国人投資家」の動きを見極める

2019年2月18日(月)17時05分
山下耕太郎 ※株の窓口より転載

Rawpixel-iStock.

<日本の株価に大きな影響を与える外国人投資家を知ることが、相場の動向を見通すカギになる。彼ら「外国人投資家」は、海外のファンドだけではない>

現在、日本株の6割以上が海外のファンドなどの「外国人投資家」によって売買されていると言われます。彼らは株価にどんな影響を与えているのでしょうか。その動きを見極めることは、相場の動向を見通すための重要な鍵となります。

投資家の動きをつかむには

株式市場には様々なプレーヤーが存在します。東京証券取引所(東証)が定期的に公表している「投資部門別売買動向」を見ると、そうした投資家たちの動きを把握することができます。

その中でも株式市場に大きな影響を与えているのが、売買代金の約6割を占める外国人投資家です。その定義と、彼らがどのような売買手法を行っているのかを詳しく解説していきます。

「投資部門別売買動向」とは?

投資部門別売買動向とは、東証が毎週第4営業日に公表する、個人、外国人、金融機関など投資家ごとの前週分の売買動向をまとめたものです。主に次のような項目に分かれています。

・投資信託
・事業法人
・金融機関(生損保・銀行・信託銀行)
・個人(現金・信用)
・外国人投資家

日本株売買の6割以上が外国人投資家

この中で注目したいのが外国人投資家の売買動向です。

日本の上場企業のうち、99%以上が日本に本社を置く"生粋"の日本企業です。株主も、多くは国内金融機関や個人投資家で、およそ7割を占めています。外国人投資家は3割程度に過ぎません。

しかし、日本株売買のシェアとなると、外国人投資家の割合が約6~7割に跳ね上がります。

株価形成に影響を与えるのは、株式の保有ではなく、実際に売買を行っているかどうかです。株式を大量に保有していても売買しなければ株価への影響はありません。

さらに、相場動向に影響を与える先物市場においては7~8割が外国人投資家とされ、「日経平均株価が500円以上動く時は背後に海外勢がいる」とも言われています。

「外国人投資家」とは?

投資部門別売買動向における外国人投資家とはどのような人たちなのでしょうか。

東証は、外国人投資家を「日本国外の住所から出された注文」と定義しています。国籍ではなく、拠点のある住所が国外かどうかがポイントです。

したがって、大手金融機関など日本の機関投資家がアメリカやヨーロッパなどの投資顧問会社に資金を預けている場合も、外国人投資家に分類されることになります。

そうはいっても、外国人投資家の大半は純粋な海外マネーです。ヘッジファンドやコンピューターによるHFT(高頻度取引)も含まれる一方、長期保有の投資家も多くいます。

ただ上記のように、一部にジャパンマネーが含まれているなど、ひとくちに「外国人投資家」と言っても、その投資手法や参加者の顔ぶれは多彩なのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:かつて主要輸出品、漁業崩壊に苦しむイエメ

ワールド

ボーイング宇宙船、再び打ち上げ延期 6月5日に再設

ビジネス

豪住宅価格、5月は前月比+0.8% 16カ月連続で

ビジネス

香港小売売上高、4月は前年比-14.7% 消費パタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 5

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 6

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 7

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 8

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 9

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 10

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中