最新記事

キャリア

AI時代に「超高収入」ファイナンスの専門職は生き残れるか

2017年9月26日(火)16時51分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「いい商品」「いいサービス」を作れば勝手に売れていた時代は過ぎ去り、膨大なビッグデータを効率的に解析し、高度な広告技術を多用することでどんな買い手がいるのかを探り、しっかりとターゲティングしなければ、モノやサービスが売れなくなってきました。

 世の中はどんどん成熟して、なかなかモノが売れない時代になりつつあります。

 そんな世界で求められる仕事の成果は、「どれだけ長く働いたか」とか、「どれだけたくさん汗をかいたか」といった努力の量や質が問われるようなものではなくなりました。

 その結果として、今まであった仕事が機械にとって代わられるという事象が起こり、意思決定するという仕事の付加価値が向上していっているのです。

 今ではAIが活用され始めたり、シンギュラリティ(技術的特異点)などという言葉が流行ったりしていて、コンピュータが人間の知能を超えるなんて言われていますが、人間が最終意思決定をするという図式が変わることはあり得ないでしょう。

 なぜなら、最終的な意思決定者というものは、最終的に責任を取る人のことであり、どれだけAIが発達しようとも、コンピュータが責任を負うことはできないからです。

 では、このような世界になっていくなかで、ビジネスパーソンに求められることは何になるのでしょうか?

 すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは「インパクトのある意思決定をすること」です。もっと言えば、「インパクトのある意思決定をし、それに対してきちんと責任を取ること」なのです。

 あと数十年もたてば、ビジネスの世界では、この1点しかビジネスパーソンには求められなくなると私は予想しています。

 そもそも、会社の社長が「できる」ビジネスパーソンに最も期待することは、自社のビジネスにいかに良質かつ巨大なインパクトを与えてくれるかです。

 私も現在、TIGALA株式会社というところで会社経営を行っていますが、「できる人」に期待する点はそこになります。

 特に幹部候補・役員候補としてジョインしていただくような人には、ビジネスの肝となるような命題に対する明確な指針を、入社初日から求めています。

 あまり大きな声では言えませんが、私が知っているとあるベンチャー企業では、経営幹部候補として入社して、初日にインパクトのある提案をひとつも出してこない場合は入社取り消しを行っています。

 逆に、自分が雇われる際も同様です。

 私の会社がクライアントから依頼を受けた場合、期待される第一の仕事は企業価値を大きく向上させることです。

 私の会社では、M&Aの支援や事業再生などのコンサルティング業務を請け負いますが、どうしたらこの企業を買収できるかとか、この会社が倒産するのを防ぐためには、まずどこを改善しなければならないのかといった緊急性かつ重要性の高い命題に対して、インパクトのある回答を打ち出さなければなりません。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中