コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
「上海、ロサンゼルス、ロンドンのZ世代には大きな共通点がある」と話すのはコーチの親会社タペストリーのスコット・ロー最高財務責任者(CFO)兼最高執行責任者(COO)だ。
コーチやラルフローレンのような、比較的手ごろな価格の高級ブランドは、こうした世代の波に乗っている。ラルフローレンの売上高は3月までの1年間に6.8%増加。専門家によると、コーチはインフルエンサーの活用、顧客1人1人に合わせた「パーソナライズ」サービスの提供、サステナビリティ(持続可能性)などに注力することでZ世代から支持を得ている。コーチは6月までの1年間の総売上高が9.9%増の約56億ドルとなった。
タペストリーのロー氏は、Z世代は他の世代に比べてブランドに対する忠誠心が低いわけではないが、選択肢が増えているため、ブランド側がZ世代に手を届かせるのが難しいと指摘。「この状態を突破するには強い存在感を示す必要がある」と述べた。
存在感を高めるにはコストがかかる。タペストリーは、コロナ禍前に3%だった対売上高マーケティング費比率を今年は10%に引き上げたと、5月の決算説明会で明らかにした。ただ、そのうちどの程度をZ世代に振り向けたかには言及しなかった。
高級ブランド各社は「コリーナ・ストラーダ」や、メアリー・ケイト・オルセンとアシュレー・オルセンのオルセン姉妹が立ち上げた「ザ・ロウ」など、規模の小さい新興ブランドとの競合にも直面している。ザ・ロウは、最新のブランドランキング「リスト・インデックス」で順位を2つ上げて6位につけた。