コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
コリーナ・ストラーダのクリエイティブディレクター、ヒラリー・テイモア氏は、2020年にデジタル広告を使ってZ世代をターゲットにし始めたと明かした。今ではZ世代とミレニアル世代が事業の58%を占めている。「サステナビリティを、遊び心あふれるミーム的な美学と組み合わせている」と説明。自社のブランドについて「インクルーシブ(包摂的)なキャスティングや多様性のあるファッションショー」が若い観客にコミュニティの一員であると感じさせていると話した。
<手ごろなアイテムが鍵>
全てのブランド大手が置き去りにされているわけではない。ケリング傘下のボッテガ・ヴェネタ、プラダ・グループのミュウミュウ、モヘ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下のロエベといった高級ブランドは、いずれもZ世代向けの販売で健闘している。現在、ミュウミュウはリスト・インデックスで首位に立ち、ロエベは2位だ。
ミュウミュウの売上高は今年上半期に前年同期比49%増加。240ドルから1250ドルの価格帯のレザー製バッグチャームによって、初めて高級ブランドを購入する顧客を取り込んでいる。
安価な商品は、年長の世代よりも価格に対する視線が厳しい、若い年齢層の消費者をひきつける要因となっている。バンク・オブ・アメリカによると、24年8月から25年8月までにZ世代とミレニアル世代(1978年以降生まれ)の支出増加率が0.5%にとどまったのに対し、ベビーブーマー世代は2.4%増加した。
ロサンゼルス出身のケンドール・スティルさん(26)は「高級ブランドを買うときは長く使えるかどうかを考える。高いお金を払うのだから、5年や10年で飽きてしまわないものが欲しい」と話す。