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【フジ中居問題】北尾吉孝氏の経営参画が、日枝久氏の残留と代り映えしそうにない理由

2025年5月15日(木)10時43分
木俣正剛(元週刊文春・月刊文藝春秋編集長)*DIAMOND Onlineからの転載

毎日のように続く呼び出しに耐え切れず、A子さんがメールを無視するようになると、末松氏から執拗に電話があり、「なぜ返信しないんだ!」と烈火のごとく怒鳴られたといいます。

このセクハラ事件は農水省内では有名で、誰でも知っていることだったのです。

すでに人々の記憶から薄れつつある事件ですが、フジの中居正広問題と似たようなことをやっていた人間を、しかも不祥事が報道されてから社外取締役に招聘した人物が、「フジの風土改革」を標榜することができるのでしょうか。


しかも、この2人の次官の不祥事はメディアでも大騒ぎになったのに、この件について北尾氏に質問する記者は誰もいませんでした。そういえば福田氏の場合は、記者が被害に遭ったにもかかわらず、政府への忖度のためか、メディア側が記者を庇わなかったことも問題視されました。

セクハラ・パワハラ次官を迎え入れる前にすべきだったこと

フジテレビの第三者委員会は、中居正広の事件が起きたとき、一部の人間だけで情報を共有し、コンプライアンス部門にも内密にして、なおかつ中居をそのまま番組に出し続けていたことを、重大な問題として指摘しました。

フジ改革を唱える以上、北尾氏も2人の次官とセクハラ被害者に対して調査委員会を開催してから社外取締役に迎えるのが筋だったと思いますが、そんなことは全然報道で指摘されません。

北尾氏はそれだけでなく、2005年に起きたホリエモンこと堀江貴文氏によるニッポン放送株の敵対的買収騒動において、ホワイトナイトとしてフジテレビ側に立って応援したことを反省したと語り、「堀江氏に謝りたい」とまで発言しています。

それに対して堀江氏もまんざらでもない態度で、経営に関わることを示唆していました。冗談ではありません。

堀江氏は証券取引法違反(有価証券報告書虚偽記載と偽計及び風説の流布)で逮捕され、実刑2年4カ月を宣告されて、実際に服役しました。容疑の中心は粉飾決算。堀江氏自身は最後まで否定しましたが、共犯とされる2人や関係者も執行猶予付きながら、懲役刑の判決を受けています。

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