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【フジ中居問題】北尾吉孝氏の経営参画が、日枝久氏の残留と代り映えしそうにない理由

2025年5月15日(木)10時43分
木俣正剛(元週刊文春・月刊文藝春秋編集長)*DIAMOND Onlineからの転載

私もこの事件には、国策捜査的な面があったとは思います。

これは、ITブームで巨万の富を得た若手投資家による強引な株取引やインサイダー取引が横行して、株式市場の安定が崩れるという懸念を持った国家による、かなり強引な捜査だったと言えます。ですから、ずっと否認を続け刑務所に服役しても抵抗した堀江氏には、その根性を認めます。

放言を繰り返す堀江貴文氏にも感じる危惧

しかし現状の堀江氏は、なにかといえば「クソ文春」「クソ○○」と人を罵倒し、無茶な難癖をつけ、コロナ禍でマスク着用不要論を唱えたのは言論の自由としても、SNSできちんと意味を知らない若者にまで「不要不急の外出禁止など不要、マスクもいらない」と吹き込むなど、かなりきわどい言論人になっていることには危惧を感じます。


彼はSNSで多くのフォロワーを持ち、それ自体が収入になっていますが、本人自身が「炎上商法」と発言しています。

国から電波枠をもらっているテレビ局の経営に携わるにはかなり心配な放言であり、それを評価している北尾氏も、報道の大切さを理解せずに「株で儲けることが一番」という考えの持ち主としか思えないのです。

北尾氏の改革案をざっとまとめると、「一番大事なのは意識改革、経営理念である」「編成という重要な仕事をやれるに足る人格、知識、教養を身につけた人がやっているのか吟味しないといけない」「持っているコンテンツをデジタル化しないといけない」といったありきたりのもので、メディアの経営者なら誰でもわかっていることばかり。

わかっているがうまくいかないから、どの社も未来が見えない状態なのです。

目新しいことと言えば、「フジHDの営業利益は不動産事業に依存している」と指摘し、本業のメディア・コンテンツ事業が大半を占める体制作りが必要だとして、「知的財産(IP)を軸としたコンテンツプロバイダーとしてエコシステムを構築しなくてはいけない」という意見を述べたことですが、これも具体策には言及していません。

北尾氏自身は「自分は株の5%くらいなら、すぐに持つことができる」と豪語し、「清水社長は残しても会長は自分がやってもいい」などと独演会を繰り返しました。

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