最新記事
ハラスメント

【フジ中居問題】北尾吉孝氏の経営参画が、日枝久氏の残留と代り映えしそうにない理由

2025年5月15日(木)10時43分
木俣正剛(元週刊文春・月刊文藝春秋編集長)*DIAMOND Onlineからの転載
フジ中居問題

Piotr Piatrouski -shutterstock-

<大株主の米投資ファンドが選んだフジの新取締役候補に覚える違和感。北尾氏は今回フジの第三者委員会が最も問題視した部分に配慮していなかった経営者...>

4月17日、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスの新しい経営体制を巡り、大株主の米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツが新取締役候補として提案したSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長が、フジテレビの株主として経営に参加する趣旨の記者会見を行いました。

北尾氏は強気な口調、厳しい面持ち、改革の旗手としてのイメージをアピールしていましたが、私は違和感を覚えました。

理由の第一は、フジテレビにおいては中居正広問題に象徴されるセクハラ・パワハラの常態化の改善が急務にもかかわらず、北尾氏がこの問題に敏感だとは思えないからです。


北尾氏が経営するSBIホールディングスは2020年に元財務事務次官・福田淳一氏を、2021年に前農林水産事務次官・末松広行氏を独立社外取締役に迎えました。

福田氏は記者へのセクハラで懲戒処分を受け、末松氏は部下へのセクハラとパワハラで批判を受けた末の辞任だったのですから、北尾氏は今回フジの第三者委員会が最も問題視した部分に配慮していなかった経営者ということになります。

福田氏は2018年、テレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題が『週刊新潮』に掲載され、次官を辞任し、直後に減給の懲戒処分を受けています。

当初氏は否定していましたが、「今日ね......抱きしめていい?」「旦那は浮気しないタイプなの? 予算通ったら浮気するか」「胸触っていい?」といったセクハラ発言とされる音声データが公開され、辞任に追い込まれました。

農水省の末松元次官の場合は、総合食料局食品産業企画課の食品環境対策室長というポストに就いていましたが、総理官邸に内閣参事官として出向していた2003年頃、部下に対して1年以上にわたってセクハラ・パワハラを繰り返していたと報道されました。

末松次官が元部下の女性職員・A子さんに行ったハラスメントは、極めて陰湿なものでした。

『FRIDAY』の記事には、「大量のメールを送りつけ、電話をくり返してA子を食事に誘っていました。メールや電話が来るのは決まって勤務時間外、ときには深夜2〜3時だったこともあります。

しかも誘い方が狡猾で、『仕事の打ち合わせがあるから今すぐ来い』などと呼び出すんです。以前の上司、しかもすでに末松さんはホープと呼ばれていただけに、A子は逆らえなかった」という告発文が掲載されていました。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラ、9月は欧州4カ国で販売増 競争激化と車種陳

ビジネス

インフレを懸念、政府閉鎖で政策判断より困難に=シカ

ワールド

G7、ロシア産原油購入拡大続ける国を標的に 対ロ圧

ビジネス

米国株式市場=4日続伸、政府閉鎖で不透明感もヘルス
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」してしまったインコの動画にSNSは「爆笑の嵐」
  • 4
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 7
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 8
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 9
    通勤費が高すぎて...「棺桶のような場所」で寝泊まり…
  • 10
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 7
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 8
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中