最新記事
金融

24時間で5.5兆円が流出 シリコンバレー銀行破綻に見るデジタル時代の「取り付け騒ぎ」

2023年3月23日(木)11時09分
ロイター
シリコンバレー銀行本店に集まった人々

経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)で起きた急激な預金流出は、金融規制当局が直面する新たなリスクを浮き彫りにしている。写真は13日、カリフォルニア州サンタクララの同行本店に集まった人々(2023年 ロイター/Brittany Hosea-Small)

「たった24時間で420億ドル」――。経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)で起きたこうした急激な預金流出は、金融規制当局が直面する新たなリスクを浮き彫りにしている。すなわち、ソーシャルメディア主導の預金取り付けだ。

経営が危ないとみなされた銀行の前に預金者が長蛇の列を作るという光景は、もはや過去の出来事になろうとしている。デジタル技術が加速する中で育ってきた今の世代の顧客は、スマートフォンを数回タップするだけで預金を引き出せる。

今月6日からの週にソーシャルメディア上で、有力投資家ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドを含むベンチャーキャピタル数社がSVBから現金を引き揚げるよう助言しているとの情報が伝わると、株価は急落。顧客が一斉に逃げ出した。当局がSVBを閉鎖したのは10日になってからだった。

スイス政府の肝いりで19日、UBSによって救済合併されることが決まったクレディ・スイスも、ソーシャルメディアの恐ろしさは十分過ぎるほど身に染みている。

というのも昨年、ソーシャルメディア上の不確かな情報のせいで顧客が離れ、同行傘下の幾つかの法人の流動性の要件が未達になってしまった。

コロンビア大学リッチモンドセンターのトッド・ベーカー上席研究員は「人々が非常に素早く大量にコミュニケーションできるという事実が預金取り付けを巡る動きを様変わりさせ、恐らくは流動性リスク管理について、われわれが考えるべき方法も変えたのだろう」と述べた。

富豪で大手ヘッジファンドを率いるウィリアム・アックマン氏は、SVB破綻の数日後、預金者は全ての現金を完全に引き出すことができると政府が明確に保証しない限り、オンライン口座とソーシャルメディアの存在による預金取り付けに対して、世界中で安全と言える銀行はなくなった、と警鐘を鳴らした。

規制当局も預金取り付けが、かつてないほど急速に進む可能性に向き合っているという自覚はある。だが、具体的にツイッターが生み出すパニックに対し、どう対処できるかは不明瞭のままだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「ロシアがキーウ攻撃1週間停止に同意」、

ワールド

米・メキシコ首脳が電話会談、通商など協議 キューバ

ワールド

米国防長官、2月のNATO会議欠席の見通し=情報筋

ビジネス

米ブラックストーン、10―12月期は増益 M&A活
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中