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なぜ商品価格は下がり続ける?

2015年1月7日(水)13時26分
ジェフリー・フランケル(ハーバード大学教授)

 実質金利が実質商品価格に影響する因果関係は4つある(経済活動の程度による影響は除く)。第1に、金利上昇局面では原油や鉱物など貯蔵の利く商品の価格が下がる。金利が低い(投資コストが低い)うちに採掘しておこうというインセンティブが働き、増産につながるからだ。

 第2に、金利が高くなると一般企業も在庫を抱えたがらない。第3に、金利が上がると投資家は高リスクの商品取引から資金を引き揚げ、国債を買うようになる。第4に、高金利だと国内通貨が高くなるため、自国通貨建ての商品価格は下がる。

 もちろんアメリカの金利はまだ上がっていないから、この仕組みは直接的には作用していない。だが投機家たちは半年後の利上げを見越して、既に商品取引から資金を引き揚げつつある。15年に来るはずの動きを先取りしているわけだ。

 為替相場の影響は既に現実化している。アメリカが金融引き締めをにらむ一方、ヨーロッパと日本は一段の金融緩和に動きだしている。その結果、ドルは対ユーロと対円で上昇している。ユーロは対ドルで14年上半期以降に8%、円は14%も下落した。だから他の主要通貨でいくら商品価格が上がっても、ドル建てでは下落になってしまうのだ。

© Project Syndicate

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