コラム

トランプに脅されたヨルダン...苦境にいる「友人」に日本がすべきこととは?

2025年03月25日(火)09時25分
ホワイトハウスで無理難題をふっかけられたアブドラ国王

ホワイトハウスで無理難題をふっかけられたアブドラ国王(2月11日) NATHAN HOWARDーREUTERS

<パレスチナ問題では、ヨルダンにしかできない役割がある...。そのヨルダンと長年、外交関係を築いてきた日本の中東における役割について>

イスラム組織ハマスとイスラエルによる戦争は、アラブ諸国にとってパレスチナ問題解決への本気度を測るリトマス試験紙になっているだけでなく、国家の安定をも揺るがしかねない危険性をはらむ。

特に複雑な立場に置かれているのがエジプトとヨルダンだ。なかでもヨルダンは中東では政治的に最も安定した国家の1つだが、トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザの住民の強制移住計画をぶち上げると、国内外に不穏な空気が漂い始めた。


ヨルダンはパレスチナとの間に複雑な歴史を抱える。

1948年のイスラエル建国に伴う第1次中東戦争の結果、エルサレムとヨルダン川西岸地区はヨルダンの管轄下に置かれ、住む家を追われたパレスチナ人がヨルダンに逃れた。さらに67年の第3次中東戦争でもパレスチナ人の難民を受け入れ、現在のヨルダンの人口の約7割をパレスチナ系が占める。

エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地は現在、ハシム王家が治めるヨルダンが「守護者」としての地位を有しており、イスラエルに対して一定の影響力を持っている。

しかし、非産油国で湾岸諸国のような天然資源に恵まれないヨルダンが、ガザ復興において近隣の金満国家のように財政面で役割を果たすことはできない。それでも、パレスチナとの間に密接な歴史的つながりを持ち、その混乱が自国にも波及しかねないヨルダンにしかできない役割もある。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イエメン・フーシ派、イラン情勢巡り軍事介入の用意 

ビジネス

NY外為市場=ドル160円台、中東緊迫で「有事の買

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、ダウ調整入り 中東情勢巡る

ワールド

イラン、米停戦案への回答保留 攻撃下の対話要求「容
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 5
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 6
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 7
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 8
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 9
    アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える
  • 10
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story