コラム

トランプに脅されたヨルダン...苦境にいる「友人」に日本がすべきこととは?

2025年03月25日(火)09時25分

世論調査機関アラブ・バロメーターによると、ヨルダン国民の66%が自らを「パレスチナの最大の擁護者」であると考え、その数はパレスチナ問題で大きな影響力を持つカタール(34%)やエジプト(24%)をはるかに上回る。

この姿勢はトップ外交にも及び、アブドラ国王のみならず、その妻でパレスチナ系のラニア王妃はビジネスウーマン顔負けのいでたちで外国のメディアに出演し、ガザの人々の苦難を訴えるなど、積極的にメディア発信している。

【動画】海外メディアでガザの窮状を訴えるラニア王妃 を見る


また、サファディ副首相兼外相・移民相が舌鋒鋭くイスラエルを批判し、2国家解決を訴えるなど、先陣を切って世界に発信する姿は、パレスチナにとって「精神的な後ろ盾」となっている。

しかし今、トランプ再来によって、ヨルダンは難しい立場に立たされている。経済的に厳しい状況にあるヨルダン政府は2022年、7年間で総額100億ドルの支援をアメリカから受けることで合意した。

だが、ガザ住民を受け入れないとその支援を停止するとトランプは脅しをかけた。既に米国際開発庁(USAID)のプロジェクトも中止され、多くのヨルダン人が職を失ったとも指摘されている。

国家規模や人口バランスなどを踏まえると、ヨルダンにパレスチナ人を受け入れる余裕はない。

2月にトランプ大統領との会談に臨んだアブドラ国王は、ガザ住民の強制移住計画について面前では「ノー」と言えず、深刻な病気を抱える2000人のガザの子供たちの受け入れを表明したのみで、その弱腰の姿勢は国民から反感を買った。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

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