コラム

1冊9000円で聖書までグッズ化...煩悩まみれのトランプが販売する「バイブル」の内容は?

2024年04月17日(水)14時44分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
ドナルド・トランプを描いた風刺画

©2024 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<議事堂乱入・選挙不正・機密文書改ざん・業務記録改ざんと4つの刑事裁判の被告になっているトランプ前大統領。偽善の人が慈善を説く本を売る滑稽さ(パックンの風刺画コラム)>

男性はネクタイを締め、制汗スプレーで脇をリフレッシュ。女性は香水をつける。2人はウオッカで乾杯した後、ステーキをいただく。その後は下着と眼鏡だけの姿になり、マットレスでボードゲームを楽しむ。

何の変哲もないデートに思うかもしれないが、これはとても特別な夜のプランだ。なぜならネクタイからボードゲームまで、登場するものは全てトランプブランドのものだから!

トランプ前米大統領は不動産業で知られるが、実は昔から自分の名前を貸し出し、さまざまな商品のライセンス契約で儲けていた。残念ながら商品のメーカー側が儲からず、ほとんどは販売中止に。だからこの素敵なシナリオは今なら難しそうだ。

しかし、トランプは最近ライセンス方式ではなく、自社でトランプグッズを販売している。食器、ワイン、アパレル、ペット用品など幅広い品ぞろえなので、内容を調整すればトランプ三昧デートも夢ではない。しかも、もし2人の愛が成就して結婚すれば、「トランプ聖書」で結婚式を挙げることもできる!

発売中のトランプ聖書の中身は普通の聖書と一緒。おまけで米憲法とある曲の歌詞も付いてくる。どれもネットでタダで読めるが、これはただの無料コンテンツの詰め合わせではない。お値段約60ドル(約9000円)もする無料コンテンツの詰め合わせだ。

風刺画では、トランプが被告の4つの刑事裁判を往年の映画でもじって、慈善を説く本を偽善の人が売るおかしさを表現。それぞれの元ネタは『Deep Throat』『Naked Gun』『DebbieDoes Dallas』『Hush...Hush, Sweet Charlotte』。

直訳すると「深い喉」「裸の銃」「デビーがダラスとヤる」「お静かにシャーロットちゃん」と、どれもエロそうなタイトルだ(邦題は上から順に『ディープ・スロート』『裸の銃を持つ男』『デビー・ダズ・ダラス』『ふるえて眠れ』)。しかも1番目と3番目は実際にポルノ映画だ。

それぞれ議事堂乱入、選挙不正、機密文書改ざん、業務記録改ざんに関する裁判の風刺だ。偶然なのか、4つ目の訴訟にもポルノ女優が関わっているね。

Good newsはキリストからの「良い知らせ」つまり「福音」のこと。それを自分のために利用する人がまた大統領になるかもしれないのはどう考えてもBad Newsだけどね。

ポイント

4 XXX HITS!
超エッチなヒット作4連発!

DEEP COUP, NAKED FRAUD, DONALD DOES DOCUMENTS, HUSH...HUSH, SWEET STORMY
深いクーデター、裸の詐欺、ドナルドが書類をヤる、お静かにストーミーちゃん(ストーミーはトランプの不倫相手でポルノ女優のストーミー・ダニエルズ)

HAVE YOU HEARD THE GOOD NEWS?
良い知らせ(福音)を聞きたくはないか?

I'M SO CONFUSED!
なにがなんだか分からない!

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story