Picture Power

【写真特集】透明な存在にされたアフガニスタン女性たち

NO WOMAN’S LAND

Photographs by Kiana Hayeri

2024年10月10日(木)18時54分
アフガニスタン 女性の権利

パキスタンから国外追放されて東部ナンガルハル州ジャララバードに移り住んだ家族。不法滞在の外国人の摘発で、数十万人規模のアフガニスタン人がパキスタンから追放された。その中には数十年間パキスタンで暮らしていた人もいる。国外追放によって最も影響を受けているのは女性や少女たちで、それが児童婚の比率の高さに表れている

<イスラム主義勢力タリバンの支配が復活してから3年ほどが経過したアフガニスタン。女子の権利は大きく制限されて、少女たちは教育機会を失い、男性の保護者なしに公園に行くことさえままならない。>

 アフガニスタンで2021年8月にイスラム主義勢力タリバンの支配が復活してから3年、女性たちは社会制度上その存在を消去され、最も基本的な権利さえ奪われている。学校、大学に通うことはおろか、仕事に就き、好きな服装をすること、公衆浴場や公園、美容室に行くこともできない。今年8月、タリバン政権は新法によって、女性が公の場で大声を上げたり、歌ったりすることも禁止した。国外脱出したある女性活動家は、アフガニスタンにはもう将来を見いだせないと語る。「私たちは『喜び』を忘れてしまった。どこにも見つけられないから」

 写真家キアナ・ヘイエリと女性の人権問題研究家のメリッサ・コルネは今年、半年間にわたって7つの州を訪れ、100人以上の女性たちから話を聞き、その姿を写真に収めた。今回の作品は、優れた調査報道に贈られる仏「カルミニャック・フォトジャーナリズム賞」を受賞し、10月25日~11月18日にパリの写真祭で展示される。

 好転の兆しが見えない現状に、アフガニスタンの女性たちの苦悩は深まっている。

<次ページで「No Woman's Land」から写真10点を紹介>

PHOTOGRAPHS BY © KIANA HAYERI FOR FONDATION CARMIGNAC
Photographs from No Woman's Land by Kiana Hayeri and Mélissa Cornet, laureates of the 14th edition of the Carmignac Photojournalism Award Carmignac

 【連載20周年】 Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」
    2024年10月15日号 掲載

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏のチャットボット、反ユダヤ主義的との苦情受

ワールド

ロイターネクスト:シンガポール、中国・米国・欧州と

ビジネス

日経平均は続伸、円安が支え 指数の方向感は乏しい

ビジネス

イオンが決算発表を31日に延期、イオンFSのベトナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 9
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 8
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story