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【写真特集】ソ連時代の夢の跡に暮らす難民たち
REFUGEES IN THE RUINS
Photographs by SANDRO MADDALENA
廃墟となったサナトリウムは旧ソ連時代、療養の人々でにぎわい、ジョージア出身の独裁者スターリンもこの温泉地を愛した
<現在、ほとんどが廃墟となったジョージア・ツカルトゥボのサナトリウムに暮らすのは、90年代のアブハジア紛争で故郷を追われた国内難民だ>
黒海沿岸に近いジョージア(グルジア)西部の町ツカルトゥボは、ソ連時代、温泉保養地としてにぎわっていた。22の壮麗なサナトリウム(保養所)や周辺のホテルを、エリート層や労働者が休暇や療養のために訪れていた。しかしソ連崩壊後、ツカルトゥボは急速に寂れていく。
現在、ほとんどが廃墟となったサナトリウムに暮らすのは、1990年代にアブハジア紛争で故郷を追われた国内避難民だ。アブハジアはもともとジョージアの一部だったが、92年に独立を宣言し、ジョージアとの間で紛争が起きた。約20万を超える難民のうち5000人が、ツカルトゥボのサナトリウム跡に逃れ、現在も数百人がここで生活を続けている。
廃墟となったサナトリウムにガス供給や暖房施設はなく、衛生状態も良くない。ジョージア政府は、難民のための集合住宅の建設とツカルトゥボを温泉リゾートへと再生させる計画を明らかにしている。
しかし、経済状況の悪化で実現の見通しは立たず、コロナ禍で状況は一層悪化している。町の各所に遺るソ連時代の美しいモザイク画が、難民の苦境を一層際立たせる。
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