Picture Power

【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も 

HERE WAS A SEA

Photographs by Julien Pebrel

2025年08月22日(金)19時00分
カスピ海が干上がる

カスピ海北岸に面するカザフスタン・アティラウ州の村落カスピー。かつては国営の漁業集団の拠点だったが、現在は人けもなく荒れ果てている

<世界最大の湖とされるカスピ海の面積は、日本の国土総面積(37万8000平方キロメートル)とほぼ同じ。その岸は驚くべきスピードで後退し、21世紀末にはほぼ砂漠化すると予想される地域もある。カザフスタンのカスピ海沿岸からのフォト・ルポルタージュ>

ロシアやカザフスタンなど5カ国に囲まれた世界最大の内海、カスピ海が急速に縮小しつつある。水位は1990年代半ばから約2メートル低下し、今世紀末までにほぼ干上がるともいわれる。海岸線が50キロ後退した地域もあり、石油産業などの経済や人々の生活に深刻な打撃が及んでいる。

最大の原因は水源であるボルガ川やウラル川にダムが建設され、水の流入量が減ったこと。気候変動による蒸発量の増加も追い打ちをかける。

だが周辺国の対応は鈍い。ウクライナ紛争を抱えるロシアは、環境よりも河川流域の経済的利益を優先している。最も影響を受けるカザフスタンは水資源の管理に取り組んでいるが、成果は乏しい。

21世紀末のカスピ海の水位予測。ほぼ砂漠化する地域も【21世紀末のカスピ海の水位予測。ほぼ砂漠化する地域も】

資料:Samant, R., Prange, M. Climate-driven 21st century Caspian Sea level decline estimated from CMIP6 projections. Commun Earth Environ 4, 357 (2023)

<拡大マップはこちらをクリックしてください>

ウラル川河口に位置するカザフスタンの村ダンバでは重機が浅瀬を絶えず掘削しているが、立ち往生した船が放置されている。一方でロシアが大量の水を放流し、下流の町が浸水することも。干上がった荒地と水没した町という両極の光景が、カスピ海の惨状を象徴している。

次ページ:<フォト・ルポルタージュ>「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も

Photographs by Julien Pebrel
撮影:ジュリエン・パブレル
1983年フランス生まれ。旧ソ連圏の領有権が定まらない土地の社会課題などの作品で知られる。現在は、ジョージアの首都トビリシと仏パリを拠点に、ジョージア社会の多様な側面を取材し、長編のドキュメンタリー映画を製作中。

【連載21周年】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2025年8月26日号掲載

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランが国外と遮断状態に、最高指導者「トランプ代理

ワールド

中国が日本企業向けレアアース輸出制限と米紙報道、輸

ワールド

台湾輸出、25年は過去最高 AI需要旺盛 12月は

ビジネス

中国AI企業ミニマックスが香港上場、公開価格の2倍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story