コラム

伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は見るべき映画......でも絶賛できない訳は

2025年06月26日(木)10時50分

とにかく視点。僕は1つでも多く知りたい。だから『ハルビン』を評価する。

歴史を学ぶ理由は何か。同じ過ちを繰り返さないためだ。その意味では、日本人こそこの映画を見なければならないし、日本でこそこの映画が(視点を変えながら)作られねばならない。


監督は『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』などで社会派を代表するウ・ミンホ。重厚で肉厚であることは当然だ。

でも僕はこの映画を絶賛しない。というか大いに不満だ。

安重根を演じるヒョンビンを含めて俳優たちのほとんどが、(いわゆるシュッとした)端正な顔立ちで同じように髭を生やし、しかも登場シーンの半分以上はソフト帽をかぶっているから見えるのは顔の一部だけ。つまり見分けがつかない。

ヒョンビンも『愛の不時着』とは顔がずいぶん違う。普通のイケメンなのだ。ラスト近くになるまで僕は人物を見分けることがほとんどできなかった。

ソン・ガンホとかオ・ダルスみたいなジャガイモ顔の俳優もたくさんいるはずなのに、なぜイケメン俳優ばかりを起用したのか。

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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