「ウクライナ敗北は中国の攻撃姿勢強める」 台湾軍幹部がポーランドで演説

9月30日、台湾国防部参謀本部で情報参謀次長を務める謝日升氏(写真)はポーランド首都ワルシャワで開催された安全保障フォーラムに出席し、ロシアとウクライナの戦争について「ウクライナの敗北は中国に台湾への攻撃的姿勢を強められるというシグナルになる」と指摘し、台湾としてはウクライナの勝利を願っているとする演説を行った。4月1日、台北で撮影(2025年 ロイター/Walid Berrazeg)
Ben Blanchard
[台北 2日 ロイター] - 台湾国防部参謀本部で情報参謀次長を務める謝日升氏は9月30日にポーランド首都ワルシャワで開催された安全保障フォーラムに出席し、ロシアとウクライナの戦争について「ウクライナの敗北は中国に台湾への攻撃的姿勢を強められるというシグナルになる」と指摘し、台湾としてはウクライナの勝利を願っているとする演説を行った。ウクライナからは、台湾の即応態勢を高められる多くの教訓も得られたとしている。
ロシアによるウクライナ侵攻後、中東欧地域では差し迫る脅威を抱えるという面で立場が似ている台湾への同情論が広がりつつあるが、ほぼ全ての欧州諸国は台湾と外交関係を築いていない。こうした中で台湾の軍人が欧州を公式に訪れるのは極めて異例だ。
謝氏は「中国が台湾へ侵攻し、ロシアがウクライナで攻勢を拡大すれば、世界は2つの地政学的危機に直面しかねない」と警告。欧州が台湾を支援してくれれば、インド太平洋で戦争が起きる可能性を防ぐことができると訴えた。
また、台湾と欧州は相互に学ぶことが可能だと強調した上で「われわれは何年もの間、中国によるグレーゾーン活動(武力攻撃に至らない圧迫・挑発など)に対処している。われわれには偽情報対策で欧州側と共有可能で、双方にメリットをもたらし得る多大な(経験量)がある」と説明した。
一方中国外務省は、台湾が「注目を集めるために話題性のある問題を利用しようとしている」と反発。ロイターに「台湾問題は純粋に中国の国内問題であり、本質的にウクライナ危機とは異なる」と主張した。