コラム

「反ユダヤ」は暴発寸前だった...アムステルダム、サッカーファン襲撃事件の背後で起きていたこと

2024年11月09日(土)15時37分
アムステルダムのサッカーファン襲撃が起きた原因

襲撃事件後にイスラエルに帰国したサッカーファンたち(ベン・グリオン国際空港、11月8日) Thomas Peter-Reuters

<1938年にドイツ各地で反ユダヤ主義暴動が発生した「水晶の夜」の悪夢を彷彿させるような事件がオランダのアムステルダムで発生>

[ロンドン発]アンネ・フランクの家があるオランダの首都アムステルダムで、UEFA(欧州サッカー連盟)ヨーロッパリーグのアヤックス対マッカビ・テルアビブFC戦(11月7日)の応援にきていたイスラエル人サポーターが襲撃され、20~30人が負傷する事件が起きた。

■【動画】閲覧注意:暴徒たちは暴力行為の動画を誇らしげにSNSに公開

パレスチナ自治区ガザではイスラエルの無差別攻撃で約4万3500人が死亡、約10万2700人が負傷し、1万人以上が行方不明になっている。ピュー研究所の調査では16年時点で欧州のムスリム人口は2577万人に達しており、反イスラエルのマグマは爆発寸前にまで高まっている。

一方、11月9日は1938年にドイツ各地で反ユダヤ主義暴動が発生、ユダヤ人の居住地域やシナゴーグが次々と襲撃された呪われた日、「水晶の夜」として記憶される。米大統領選ではあからさまな親イスラエル派のドナルド・トランプ前大統領が復活しただけに緊張は一段と高まる。

現地からの報道によると、親パレスチナ派はイスラエルのクラブとサポーターがアムステルダムに来ることに抗議するため、11月7日にデモを計画していた。前日の6日夜、イスラエルのサポーターがパレスチナ国旗を燃やし、タクシーを破壊した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国防総省、イラン情勢にらみ中東に空母増派へ 最新

ワールド

五輪=CAS、「追悼ヘルメット」のウクライナ選手の

ワールド

米大統領上級顧問、鉄鋼・アルミ関税引き下げ計画を否

ワールド

ドイツ首相、米欧の関係再構築呼びかけ 防衛力強化の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story