コラム

背に腹はかえられぬイギリス「忍び足」外交...外相「こっそり」中国訪問で、人権より経済優先の姿勢

2024年10月19日(土)14時23分

ラミー外相は「英国と中国はグローバル・プレーヤーだ。中国への関与は現実的であり、英国と世界の利益を支えるために必要だ。ロシアのウクライナ侵攻阻止から世界的なグリーン転換支援に至るまで対立分野だけでなく協力分野も含めて率直に話をしなければならない」と表明した。

ラミー外相は野党時代の昨年、政権に返り咲いたら中国のウイグル族弾圧をジェノサイド(民族浄化)と宣言する法的手段を追求するため「パートナーと共に多国間で行動する」と述べた。しかし訪中に先立ち早々とこの方針を撤回し、反中超党派議員団から批判を浴びた。

英外相にメディアはほとんど接触できない

英BBC放送はラミー外相の訪中について「訪中は静かに行われている。ラミー外相にメディアはほとんど接触できない。新たな貿易協定や政策協力についての発表もない。首相官邸は今月末の予算発表を前に政治的な対立を避けたいと考えている」と伝えている。

一方、スターマー首相は18日、ベルリンでジョー・バイデン米大統領、オラフ・ショルツ独首相、エマニュエル・マクロン仏大統領と会談し、ロシアの凍結資産活用などウクライナ支援策や中東情勢を話し合った。ラミー外相の訪中とバランスを取ったのが透けて見える。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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