マクロスコープ:高市新政権発足へ 財務省、維新との予算編成に期待と不安

10月20日、自民党と日本維新の会の連立協議が進展し、自民の高市早苗総裁(写真)が21日に首相指名される見通しが強まった。写真は10月、都内で代表撮影(2025年 ロイター)
Tamiyuki Kihara
[東京 20日 ロイター] - 自民党と日本維新の会の連立協議が進展し、自民の高市早苗総裁が21日に首相指名される見通しが強まった。高市新政権が発足すれば、急激な物価高への対応を最優先課題とし、今年度補正予算の編成に速やかに着手する見通しだ。
「責任ある積極財政」を訴える高市氏と「小さな政府」を標榜する維新の連立は、予算規模や内容に大きな影響を及ぼしそうだ。財務省内では財政規律を重視する維新の影響力に期待が寄せられる一方、過度な予算拡大への懸念も根強い。
<財務省幹部「維新の影響力は望ましい」>
「維新が高市氏に財政規律の観点から影響力を発揮すれば、我々にとっては望ましい」。財務省幹部は連立政権の行方をこう評価した。自民が当初連携の軸と考えていた国民民主党とは異なり、維新は経費削減や歳出改革を党是とし過度な財政拡大に慎重姿勢を見せているからだ。
実際、維新の藤田文武共同代表が提示した12項目の「政策協議メモ」には、「食品消費税の2年間ゼロ」が盛り込まれたものの、連立の絶対条件として掲げられたのは議員定数削減、社会保障制度改革、副首都構想実現の3点だった。
例えば、維新が重視する社会保障制度改革では、医療・介護費の効率化や年金制度の見直しが議論の中心となる見込みだ。一方、国民民主が強く主張した所得税の非課税枠拡大はメモに含まれず、給付付き税額控除も「制度設計を進める」と記すにとどまっている。
消費減税について高市氏はすでに維新との会談で「財政的に難しい」との立場を伝えており、維新側も現時点では強く反発していない。政府関係者は「消費減税の機運はしぼんだ。維新の要求は現実的で過激な財政拡大を抑える効果が期待できる」との見方を示す。
<高市氏の積極財政と政治的思惑>
一方、高市氏が総裁選で掲げた政策は積極財政の色合いが強い。診療報酬・介護報酬の前倒し改定、自動車税の2年間停止など、国民生活の負担軽減を重視する姿勢が目立っている。
これらの施策を補正予算に盛り込む場合、予算規模は昨年度の約13兆9000億円を上回る可能性がある。前出とは別の財務省幹部は「高市氏が『積極財政』の看板をアピールするため、大規模な補正予算を打ち出す可能性は否定できない」と警戒する。
ただ、足元の経済情勢によって予算編成は複雑さを増す。内閣府の試算によると今年4ー6月期の需給ギャップはわずかにプラスとなった。円安進行による輸入物価高騰が家計や中小企業を圧迫し、特に食品やエネルギー価格の上昇は顕著だ。過度な財政拡大はインフレ圧力をさらに高め、経済の先行きに影を落とすリスクがある。
高市氏もこれまで「財政規律が重要ではないと言ったことはない」と語るなど、財政健全化に一定の理解を示している。
<カギ握る維新の手腕と他勢力>
こうした中、維新の財政規律への姿勢はどこまで実効性を持つのか。財務省関係者は「維新が『口だけ』となれば結局は高市氏のペースで予算編成が進む可能性がある」と不安視する。維新はこれまで国会での法案審議や地方自治体の改革で独自色を強く打ち出してきたものの、与党経験はなく、連立政権内での手腕は未知数だからだ。
加えて、国会の勢力図も無視できない。自民・維新連立では衆院での過半数(233議席)にわずかに届かないため、公明党や国民民主、無所属議員の協力は依然として不可欠だ。公明幹部は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の策定に閣内で関与した責任を強調しつつ、「補正予算の賛否は何も決めていない」と慎重な姿勢を示す。国民民主は所得税非課税枠の拡大を引き続き求め、予算編成での影響力を維持しようとしている。
自民と維新が他の勢力にどこまで譲歩するかで、予算の規模や費目に大きな影響が出かねない。自民党内にも高市氏の経済政策に距離を置く議員らがいるほか、衆院予算委員会を取り仕切る委員長ポストは野党第1党の立憲民主党が握っている。高市新政権が直面する補正予算と来年度当初予算編成は、複数のプレーヤーによる複雑な駆け引きに左右されそうだ。
(鬼原民幸 編集:橋本浩)
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