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UAE、イスラエルのヨルダン川西岸入植計画は「レッドライン」

2025年09月04日(木)09時56分

 9月3日、アラブ首長国連邦(UAE)はイスラエルに対し、ヨルダン川西岸地区の併合はUAEにとって「レッドライン(越えてはならない一線)」で、UAEとイスラエルの関係を正常化したアブラハム合意の精神を著しく損なうことになると警告した。写真はイスラエル国旗が掲げられた住宅。ヨルダン川西岸ヘブロンで3日撮影(2025年 ロイター/Mussa Qawasma)

Maha El Dahan

[ドバイ 3日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)は3日、イスラエルに対し、ヨルダン川西岸地区の併合はUAEにとって「レッドライン(越えてはならない一線)」で、UAEとイスラエルの関係を正常化したアブラハム合意の精神を著しく損なうことになると警告した。

UAEはトランプ米大統領の1期目にイスラエルとの協定に署名したアラブ3カ国の中で最も大きな影響力を持つ。今回の発言は2023年にパレスチナ自治区ガザでの戦争が始まって以降で最も厳しいイスラエル批判となる。

UAE外務省高官のラナ・ヌセイベ氏はロイターに対し、「われわれは当初から、この協定をパレスチナの人々と彼らの独立国家への正当な願望を継続的に支援する手段と考えていた」と指摘。

「イスラエル政府に対し、これらの(入植)計画を中止するよう求める。いかなる過激派も、この地域の行方を決定づけることは許されない。平和には勇気と粘り強さ、そして暴力によってわれわれの選択が左右されないよう断固とした姿勢が必要だ」と述べた。

ヌセイベ氏は「ヨルダン川西岸地区の併合は、UAEにとってレッドラインとなる」とし、アブラハム合意の「ビジョンと精神」を著しく損ない、地域統合の追求に終止符を打つことになるからだと語った。

イスラエル首相府は、UAEの発言に関するコメント要請にすぐには応じなかった。

イスラエルの極右派スモトリッチ財務相は8月、同国が占領する東エルサレムとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を分断するとされる入植計画を承認した。

スモトリッチ氏は3日、ヨルダン川西岸の領土併合に向けた地図が作成されていると述べた。ただ、ネタニヤフ首相の支持を得ているかどうかは不明だ。

ロイター
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