トランプ氏の対FRB圧力は世界的リスク=フィンランド中銀総裁

8月28日、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁(写真)は、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に対する攻撃を強めていることについて、金融市場と実体経済に世界的な打撃を与える可能性があると述べた。2024年1月、ヘルシンキで撮影(2025年 ロイター/Vesa Moilanen)
[ヘルシンキ 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は28日、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に対する攻撃を強めていることについて、金融市場と実体経済に世界的な打撃を与える可能性があると述べた。
講演で総裁は、FRBの独立性は1980年代初頭以来、侵すことのできない原則であり続けてきたと指摘。講演で「しかし今、この原則は大きく揺らいでいる。これは金融市場と実体経済の双方に世界的な波及効果を及ぼす可能性がある」と述べた。
欧州で中銀の自律性が同じように悪化するのを避けるため、ユーロが安全な通貨であるという世界的な信頼を高めるための行動を欧州が取るべきだと訴えた。
「ユーロ圏のインフレ率が2%の目標に達しているのは単なる偶然ではない。間違いなく中銀の独立した政策決定と関連している」とした。
基軸通貨としてのドルの世界的な覇権は強固であることが証明されているため、ドルの急落はあり得ないと考えているとも語った。
また、ユーロ圏の成長は予想以上に底堅いことが証明されているとしつつ、エネルギー価格の低下、ユーロ高、サービスインフレの鈍化により、インフレ率は短期的には目標の2%を下回るだろうと述べた。
「ECB理事会でわれわれは経済状況を注意深く監視しており、必要であれば行動する用意がある」と強調した。
総裁はパネル討議で「もし中央銀行の独立性が実際に崩れ、FRBが健全な金融政策原則以外の根拠、例えば大統領が金利引き下げを要求しているという理由で政策決定を行えば、必然的にインフレが加速するだろう」と述べた。