ニュース速報
ワールド

インド、農家の利益で妥協せず 米関税の代償覚悟=モディ首相

2025年08月07日(木)18時44分

 8月7日、インドのモディ首相(写真)は、トランプ米大統領がインドからの輸入品に50%の関税を課すと警告したことを受けて初めて公の場で発言し、「大きな代償を払うことになっても、国内農家の利益を犠牲にするつもりはない」と表明した。2月28日、ニューデリーで撮影(2025年 ロイター/Altaf Hussain)

Manoj Kumar Sarita Chaganti Singh

[ニューデリー 7日 ロイター] - インドのモディ首相は7日、トランプ米大統領がインドからの輸入品に50%の関税を課すと警告したことを受けて初めて公の場で発言し、「大きな代償を払うことになっても、国内農家の利益を犠牲にするつもりはない」と表明した。

ニューデリーでのイベントで、「われわれにとって農家の生活の安定は最優先事項だ」と強調。「農家、酪農家、漁業従事者の健全な暮らしに関して決して妥協しない。そのためには大きな代償を払わなければならないことを承知している」と述べた。

トランプ氏は6日、インドがロシア産原油を輸入していることを理由に、インドからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名した。関税率はこれまでに発表していた25%の相互関税に上乗せされ、最大50%となる。

インド外務省の経済関係部門高官ダム・ラビ氏は記者団に対し、「米国の関税引き上げには論理的な根拠がない」と指摘。これは一時的な異常事態であり、いずれ国際的な解決策が見いだされるとの見解を示した。

また価値観や立場の近い国々は互いの利益となる協力と経済関係を築こうとするだろうと語った。

モディ氏は7年以上ぶりとなる中国訪問の準備を進めている。一方、ブラジルのルラ大統領はモディ氏と習近平中国国家主席の両首脳と電話会談を行うと表明した。また米関税への対応について、新興国グループ「BRICS」諸国の間で協議を開始すると述べた。

インド国内ではモディ氏の支持者と野党の双方が米国の関税に断固として対応するよう求めている。最大野党・国民会議派のマリカルジュン・カルゲ総裁は、非同盟主義に基づく長年にわたる戦略的自立政策を理由に恣意的にインドを罰する国は、インドがどれほど強固な意志を持っているか理解していないと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米、エヌビディアに中国向け「H20」輸出許可付与=

ワールド

欧州、ウクライナの利益守る必要性強調 米ロ会談控え

ワールド

アラスカにゼレンスキー氏招待も、米が検討=報道

ワールド

アングル:イラク国民、電力網不安定で太陽光発電に転
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段の前に立つ女性が取った「驚きの行動」にSNSでは称賛の嵐
  • 3
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中印のジェネリック潰し
  • 4
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 5
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    メーガン妃の「盗作疑惑」...「1点」と語ったパメラ・…
  • 10
    今を時めく「韓国エンタメ」、その未来は実は暗い...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中