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金正男氏の死亡、米は北朝鮮が殺害との見方=米政府筋

2017年02月15日(水)07時04分

 2月14日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害されたと、複数の韓国メディアが14日、関係筋の話として報じた。写真は2001年、偽造パスポートで入国したとして日本の入管当局によって強制送還される、金正男氏とみられる人物(2017年 ロイター)

[クアラルンプール/ソウル 14日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄で、マレーシアで死亡したとされる金正男氏について、米政府は北朝鮮の工作員によって殺害されたとの見方を強めている。米政府関係筋が14日、明らかにした。

2人の関係筋によると、米当局は正男氏の詳しい死因を依然断定できていないという。この関係筋は米政府の見解を裏付ける証拠は示していない。

これより先、韓国政府筋も正男氏がマレーシアで殺害されたとしていた。それ以上の詳細は明らかにしなかった。

韓国外務省は一連の報道について確認はできないとし、同国情報機関のコメントは現時点で得られていない。

米政府のコメントも得られていない。

正男氏は長年、北朝鮮の外で生活し、国際的に孤立状態にある母国の王朝的な支配体制について公に批判してきた。

聯合ニュースは韓国政府筋の話として、13日午前にマレーシアで殺害されたと報じた。

マレーシア警察は声明で、死亡した男性が「キム・チョル」名義のパスポートを所持していたと明らかにした。正男氏は過去に、偽造パスポートを使用し、拘束されたことがある。

マレーシアの警察幹部は、正男氏の死因は不明とし、検視を実施するとした。ロイターの取材に対し「容疑者はまだ浮上していない。われわれは既に捜査を開始しており、手掛かりが得られる可能性を注視している」と話した。

この警察幹部によると、正男氏はマカオに渡航する途中で、クアラルンプール国際空港にある格安航空会社のターミナルで体調不良を訴えた。同幹部は「死亡した人物は、何者かに後ろからつかまれたか、顔面に手を掛けられたと感じた」とされ、その後「気分が悪くなり、クアラルンプール国際空港のカウンターで助けを求めた」と語った。

正男氏は、空港の診療所に運ばれたが容態は回復せず、プトラジャヤの病院に搬送される途中の救急車の中で死亡したという。

米政府関係筋は、ペンのような器具を使って毒殺された可能性を排除できないと語った。

韓国のケーブルテレビ局の朝鮮放送は、韓国政府筋の話として、正男氏は北朝鮮の工作員とみられる女2人に毒針で刺されたと報じた。2人はタクシーで逃走したとされる。

ロイターとしてこれらの情報は確認できていない。

マレーシアは北朝鮮と密接な関係がある数少ない国のひとつとされる。北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射を巡り世界的な制裁対象となっている。

正男氏と正恩氏はともに、北朝鮮の指導者で2011年に死去した金正日総書記の息子だが、母親が異なる。正男氏は、正恩氏の叔父で北朝鮮ナンバー2の座にあった張成沢氏に近いとされる。張成沢氏は正恩氏の命令で13年に処刑された。

正男氏は01年にドミニカ共和国の偽造パスポートを使用して、日本の空港で拘束されたこともある。この時は東京ディズニーランド見物が目的だったとされる。正男氏は香港やマカオ、中国本土に頻繁に旅行していた。

東国大学(ソウル)の高有煥教授によると、正男氏を巡っては正恩氏に代わって北朝鮮の3代目の指導者となる可能性が取り沙汰されてきた。高教授は「(正恩氏に)忠誠を誓う者たちは、彼(正男氏)を排除することを望んだのかもしれない」と話している。

正男氏は、過去数回にわたって、北朝鮮の指導者となることに興味はないと述べてきた。10年にはテレビ朝日に対して、北朝鮮の指導者が3代にわたって世襲となることには「個人的には反対だ」と話したこともある。

*内容を追加します。

ロイター
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