ニュース速報
ビジネス

KKRなど、従業員との成果共有を加速 支援団体が日本拠点

2025年10月20日(月)13時10分

 10月20日、米KKRやアポロ・グローバル・マネジメントなどが、出資先企業の従業員に株式を付与し成果を共有する仕組みを日本で本格導入する。写真はニューヨーク証券取引所で2018ねん8月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Miho Uranaka

[東京 20日 ロイター] - 米大手プライベートエクイティ(PE)ファンドのKKRやアポロ・グローバル・マネジメントなどが、出資先企業の従業員に株式を付与し成果を共有する仕組みを日本で本格導入する。KKRが主導する米国の非営利団体「オーナーシップ・ワークス」が海外初の拠点を設立し、20日に運用を開始した。業務に対する従業員の意欲を高めると共に、職場で資産を築く機会を提供し経済的安定を図る。

KKRジャパンの平野博文社長は設立イベントで「一つの投資会社にとどまらず、多様な投資会社、投資家、事業会社、金融機関がそれぞれの垣根を越えて連携していく活動を目指す」と述べた。

日本では経営陣や一部幹部に株式を付与する制度は一般的だが、対象が限定的である点が課題とされてきたという。新しい仕組みでは、PEファンドが株式売却や配当を通じて得た利益を従業員と分かち合う。企業価値が増加しなかった場合でも損失は生じず、全従業員が成果を共有できる設計となっている。

同団体には、国内ファンドのアント・キャピタル・パートナーズや日本産業パートナーズなどのほか一部メガバンクも参画する。平野氏によると、PEファンドの投資が拡大する中、この仕組みが広がればすでに投資している先だけでも10万人超の従業員が恩恵を受ける可能性があるという。

現在KKRは、投資先の医薬品受託製造を手掛ける武州製薬(埼玉県川越市)や会計・業務ソフトを提供する弥生(東京都千代田区)に導入している。オーナーシップ・ワークスの創設者で現理事長を務めるKKRのピート・スタブロス氏は、米国では2010年の開始当初から5年間で数件の導入にとどまったが、その後急速に普及し、15年で80件に達したと説明。日本では、企業への帰属意識が強いといった土壌などがあることから、理解が進めば同様に急拡大する「Jカーブ型の成長」をたどる可能性があるとの見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベトナム、26年は10%成長目標に 外的圧力でも勢

ワールド

高市氏に1回目から投票、閣外協力「逃げ」でない=維

ビジネス

中国GDP、第3四半期は前年比+4.8% 1年ぶり

ワールド

トランプ氏「大規模」関税続くとインドに警告、ロ産原
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 6
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 9
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中