船舶向けLNG需要、2030年までに少なくとも倍増へ=業界筋

業界関係者によると、液化天然ガス(LNG)の船舶燃料としての需要は2030年までに少なくとも2倍になる見通しだ。写真は2022年5月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
Jeslyn Lerh Florence Tan
[シンガポール 2日 ロイター] - 業界関係者によると、液化天然ガス(LNG)の船舶燃料としての需要は2030年までに少なくとも2倍になる見通しだ。潤沢な供給と排出ガス規制の強化を背景にLNG燃料船の発注が増えているという。
LNGは、米国とカタールの巨大輸出プロジェクトを受けて30年までには供給過剰となり、値下がりする見通し。LNGの価格競争力が増すとみられている。
海運業界の脱炭素化では、LNGが他の燃料よりも優位に立っている。LNGよりクリーンな代替燃料であるメタノールやアンモニアは供給やインフラを巡る問題が課題になっている。
船舶仲介業者ファーンレイズのLNG・新エネルギー担当アソシエイトディレクター、トゥオマス・マルヤネン氏は「船主は最終的に最もコストの低い燃料を選ぶだろう」と指摘。
「LNGはインフラが整っており、優れている。すぐに利用可能だ。将来的にはかなり安価になるとの期待がある」と述べた。
ライスタッド・エナジーのシニアバイスプレジデント(サプライチェーン調査担当)、ジョー・フリードマン氏は、世界のLNG燃料供給が25年末までに400万トンを上回り、30年までに2倍になる可能性があると述べた。
フランスのエネルギー大手トタルエナジーズは、世界のLNGとバイオLNGの船舶燃料需要が30年までに1500万トンに急増すると予想している。
船舶認証機関DNVによると、LNG燃料対応のデュアル燃料船は現在781隻に上る。
DNVのAFIマネジャー兼シニアコンサルタント、クリスティアン・ハマー氏は「現在の受注残高に基づけば、30年までに1417隻になる見通しだ。新たな発注が確定すればさらに増加するだろう」と述べた。
今月、国際海事機関(IMO)の委員会は、2028年から、排出基準に違反する船舶に排出手数料を課し、クリーンな燃料を燃焼する船舶に報酬を与える規則草案について採決を行う。ただ、米国はこの案を拒否しており、大手海運会社グループも変更を求めている。
ライスタッドのフリードマン氏は「特に非EU航路を運航する船舶については、IMO規制が発効するまで、LNGの船舶燃料補給活動が価格に非常に敏感な状態が続く」と述べた。