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インタビュー:サムティ、ヒルハウス傘下で資産運用強化 再上場も視野に=大和証G社長

2025年06月03日(火)11時47分

 大和証券グループ本社の荻野明彦社長(写真)は、アジア系プライベート・エクイティ(PE)ファンドのヒルハウス・インベストメント・マネジメントと共同出資するサムティホールディングスについて、ヒルハウス傘下でビジネスモデルを転換して運用資産(AUM)を拡大させる方針を示した。写真は5月、都内で撮影(2025年 ロイター/Miho Uranaka)

Miho Uranaka

[東京 3日 ロイター] - 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は、アジア系プライベート・エクイティ(PE)ファンドのヒルハウス・インベストメント・マネジメントと共同出資するサムティホールディングスについて、ヒルハウス傘下でビジネスモデルを転換して運用資産(AUM)を拡大させる方針を示した。将来的には、サムティの再上場も想定しているという。ロイターとのインタビューで述べた。

マンションやホテルなどの不動産開発を手掛けるサムティHDは、昨年ヒルハウスが公開買い付け(TOB)し非公開化した。それまで37%超を保有していた大和証Gは出資を維持し、現在はヒルハウスと共同で経営に関与している。

不動産開発に軸足を置いていたサムティだが、非公開化を機に資産運用を中心としたファンドマネジメントのビジネスモデルへの転換を進めている。荻野氏は、ヒルハウスの創業者であるレイ・ジャン氏とも、不動産事業の拡大に対する考えを共有していると話す。

ヒルハウスの実物資産投資部門ラヴァ・パートナーズの共同責任者であるジョー・ギャグノン氏によると、今後は資産の取得や他社との合併・買収(M&A)を通じたAUMの拡大も視野に入れており、規模の拡大によって運営効率の向上やテクノロジーを活用した管理の高度化が期待できるという。

荻野氏は「着実にAUM拡大の流れができている。ビジネスモデルの転換が順調に進めば、(ヒルハウスが保有する株式を手放す際に)再びサムティが上場することも想定している」と述べた。PEファンドによる資金投入を契機に事業を転換し、将来的に上場が実現すれば市場からの資金調達も活用して成長を図る。大和証Gが掲げる、出資や提携などを通じたインオーガニックな成長戦略の一例と位置付けられる。

大和証Gは、外部環境に左右されにくい収益構造を構築するため、アセットマネジメント(資産運用)部門を中核成長領域の一つとし重点的に強化している。不動産分野については、サムティの拡大に加え私募ファンドの展開などを通じて、2025年3月末時点で約1.6兆円だったAUMを31年3月期には1.8─2兆円に引き上げる方針を示している。

プライベートアセット(非上場資産)に関する投資信託にも注力しており、これまで米投資ファンドのブラックストーンやKKRが設定した投信の取り扱いを開始し、販売実績も順調に拡大している。荻野氏は、データセンターをはじめとするインフラ分野に対する投資家の関心は強いとした上で、今後はこうした領域での商品提供を積極化していく考えを示した。

※インタビューは28日に実施しました。

*写真を差し替えて再送します。

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