国内企業物価8月は前年比2.5%上昇、商品安で8カ月ぶり減速
日銀が9月12日に発表した8月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比で2.5%上昇した。都内で2019年6月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
Tetsushi Kajimoto
[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日に発表した8月の企業物価指数(CGPI)速報は、国内企業物価指数が前年比で2.5%上昇した。中国経済の減速に伴う国際商品市況の下落が影響し、伸び率は7月の3.0%から縮小。8カ月ぶりに鈍化したものの、金融政策の方向性を注視している「日銀ウォッチャー」は、今の利上げシナリオへの影響は軽微とみている。
ロイターがまとめた民間調査機関の調査では、中央値で前年比3.0%上昇と予想されていた。
全515品目中、上昇は390品目、下落は102品目だった。非鉄金属、スクラップ類、化学製品など、川上に近い類別において国際商品市況が下落した影響がみられた。
日銀は「引き続き不確実性が高い状況が続いているが、海外経済や地政学リスクの影響などを含めた国際商品市況の動向、商品価格や為替変動を受けた輸入物価の動向、企業の価格設定行動や需要動向を注視する」(幹部)としている。
市場が米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げをおおむね織り込む中、日銀が7月の決定会合で追加利上げを決めたことを受け、8月に円は対ドルで7.4%下落。円ベースの輸入物価は6.1%低下した。
UBS証券チーフエコノミストの足立正道氏は、企業物価の減速は中国、米国など海外経済の鈍化が影響したと分析。一方、輸入物価の軟化は日本国内の家計の購買力増加につながる可能性があるとみる。
足立氏は「賃上げ、円高によって国内の個人消費が喚起され、実質所得増加と相まって、日銀の描くさらなる利上げの条件を満たすことになるだろう」と話す。「次の利上げは10月31日と予測している。そこから約半年かけ、来年の年央には中立金利1%まで上げるシナリオを(日銀)描いているだろう」と語る。