ニュース速報
ビジネス

米11月雇用、19.9万人増と予想上回る 失業率3.7%に低下

2023年12月09日(土)04時30分

米労働省が8日発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想(18万人増)を上回った。失業率は3.7%に低下し、労働市場の底堅さが示された。(2023年 ロイター/Brian Snyder)

Lucia Mutikani

[ワシントン 8日 ロイター] - 米労働省が8日発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想(18万人増)を上回った。失業率は3.7%に低下し、労働市場の底堅さが示された。

10月の非農業部門雇用者数は前回発表の15万人増から修正されなかった。

失業率は約2年ぶりの高水準だった10月の3.9%から3.7%に低下。4月には3.4%と53年ぶりの低水準を付けていた。

平均時給は前月比0.4%増。10月は0.2%増だった。11月の前年同月比は4.0%増だった。週平均労働時間は34.4時間と、34.3時間から拡大。週間総労働時間は0.3%増加し、前月の0.2%減から反転した。

家計調査に基づく雇用は74万7000人増。労働市場に新規参入した53万2000人を十分に吸収して上回る水準だった。

労働参加率は62.8%と、前月の62.7%から上昇した。

長期失業者の数は115万人と、13万2000人減。経済的理由によるパートタイム労働者数は398万8000人と、29万5000人減少した。

経済の雇用創出能力を示す労働力人口比率は60.5%と、60.2%から上昇した。

<利上げ局面終了の見方に変化なし>

非農業部門雇用者数の伸びは過去12カ月の月平均(24万人)を下回ったものの、労働年齢人口の増加に追いつくために必要な月10万人は大きく上回っている。

米連邦準備理事会(FRB)は2022年3月以降、合計5.25%ポイントの利上げを実施。フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標は現在5.25─5.50%となっている。

今回の雇用統計を受け、FRBの利上げサイクルは終了したとの見方に変わりはなく、今月12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも金利据え置きが決定されると予想されている。ただ、来年早々に利下げが実施されるとの金融市場の期待は尚早である可能性が示唆された。

FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「市場では24年に1.0%ポイントの利下げが実施される可能性が取り沙汰されているが、労働市場の再均衡化が向こう数カ月で一段と進まなければ、おとぎ話にすぎなくなる」と指摘。

ウィリアム・ブレア(ロンドン)のマクロ・アナリスト、リチャード・デ・チャザル氏は「比較的健全な内容だった」とし、「積極的な利下げが間近に迫っているとの観測は幾分か後退する」との見方を示した。

<ヘルスケア牽引、小売りは減少>

業種別で雇用者数が最も大きく伸びたのはヘルスケア部門で、7万7000人増。伸びの大半は病院、介護施設、住宅ケア施設などだった。

政府は4万9000人増。主に地方政府の雇用が増加した。

製造業は2万8000人増。全米自動車労働組合(UAW)のストライキが妥結したことで、自動車・部品が3万人増加した。

レジャー・接客は4万人増。主にレストランとバーの増加で押し上げられた。

一方、小売業は3万8000人減。百貨店のほか、家具、電化製品、家電量販店などで減少した。

運輸・倉庫は5000人減。将来的な雇用を示すとされる人材派遣は1万3600人減と、減少に転じた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下

ワールド

米大統領とヨルダン国王が電話会談、ガザ停戦と人質解

ワールド

ウクライナ軍、ロシア占領下クリミアの航空基地にミサ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 7
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 8
    もろ直撃...巨大クジラがボートに激突し、転覆させる…
  • 9
    日本人は「アップデート」されたのか?...ジョージア…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 6
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中