最新記事
日本社会

現役世代で世帯の「負債超過」が膨らむ不穏な傾向

2026年1月7日(水)10時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
負債超過世帯

生活苦の広がりと格差拡大が同時進行している可能性も photoAC

<この20年余りで20代・30代世帯の負債超過の割合は大幅に増えている>

社会には富める人もいれば貧しい人もいる。その判断によく使われるのは所得だが、その人が持っている「溜め」、すなわち貯蓄も注目ポイントとなる。無収入でも貯金が何千万もある高齢者はたくさんいるが、こういう人は字のごとく「お金持ち」だ。

だが、マイナスの「溜め」を抱えている人もいる。いわゆる借金だ。筆者の場合、貯蓄は人に言っても恥ずかしくない額だと思うが、大学院博士課程まで多額の奨学金を借りたので、この負債を差し引いた額にするとよろしくない。婚活イベントの場では、すぐに渋面を作られるだろう。


人が持っている「溜め」の量を測るには、貯蓄から負債を差し引いた額を用いる必要がある。この認識は広く共有されていて、総務省の『家計調査(貯蓄・負債編)』を見ると、「貯蓄-負債」額の世帯分布の表が出ている。このデータをグラフにすると<図1>のようになる。

newsweekjp20260107002809.png

世帯主の年齢層別の分布だが、高齢者世帯の「溜め」は多い。貯蓄が多く、各種のローンは返し終わっているので負債はほぼゼロ。前者から後者を差し引いた額で見ても、およそ4割が2000万円以上だ。

しかし現役層では、不穏なグレーの色が広がっている。貯蓄から負債を引いた額がマイナス、つまり負債の方が多い世帯だ。以前よりも増えており、2024年の30代後半の世帯では6割を超える。

おそらくその多くは住宅ローンだろうが、この年代の世帯の持ち家世帯割合は、2003年から2023年にかけて47.3%から44.1%に減っている(総務省『住宅・土地統計調査』)。これは未婚化・単身化によるもので、2人以上世帯に限ったら上がっているかもしれないが、それでもせいぜい数ポイント増だろう。にもかかわらず、負債超過の世帯がここまで増えているのは驚きだ。人手不足・資材不足で、住宅ローンの額が高騰しているためだろうか。

日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国は「欧州の子」、ルビオ国務長官がミュンヘン会議

ワールド

EXCLUSIVE-米軍、数週間の対イラン作戦に備

ワールド

アングル:インド進出を加速する英大学、移民抑制受け

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 10
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中