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アングル:今年目立ったFAANG銘柄の急騰、新興国株も好調

2017年12月23日(土)09時29分

12月21日、今年はハイテク株が世界全体で40%値上がりし、新興国株は3割強、コモディティーの一部も2桁の上昇を記録したため、多くの投資家にとって運用成績は2009年以降で最高になろうとしている。写真はチェコのコルナ紙幣。プラハで2013年1月撮影(2017年 ロイター/David W Cerny)

[ロンドン 21日 ロイター] - 今年はハイテク株が世界全体で40%値上がりし、新興国株は3割強、コモディティーの一部も2桁の上昇を記録したため、多くの投資家にとって運用成績は2009年以降で最高になろうとしている。中でも、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、アルファベット傘下のグーグルを総称したいわゆる「FAANG」銘柄が急騰し、最大級のリターンを提供した。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのケビン・デーリー氏は今年の市場環境について「完璧な条件の組み合わせだった。世界的に成長が上向き、中国発のニュースは総じて良好で、トランプ大統領のリスク志向に水を差す度合いも想定されたほど大きくなかった」と話した。

このためMSCI全世界株指数<.MIWD00000PUS>は年初来で20%上昇。月間ベースでの下落はなく、米ダウ工業株30種<.DJI>がおよそ70回も過去最高値を更新したことなどが追い風になった。

ただし一番の注目はやはりFAANG銘柄と新興国株だろう。上昇率はフェイスブックが54%、ネットフリックスが53%、アップルが51%、アルファベットが35%。世界中でハイテク製品やサービスへの根強い需要が存在しただけでなく、金融緩和で生み出された資金の流入も影響した。

一方、MSCI新興国株指数<.MSCEIF>は31%上がった。全体の25%を占める中国株は48%と、構成国別でポーランドの49.5%に次ぐ好調ぶりだった。

ABNアムロのディディエ・デュレ最高投資責任者は「今年の(運用面の)成功の大部分はドル安と関連している。ドル安で投資家が新興国に全面的に資金を振り向けられたからだ」と指摘した。

そのほか日経平均<.N225>は、過去数カ月で11%跳ね上がったことが効いてドルベースの年初来上昇率は23%強と、S&P総合500種<.SPX>を1%ポイント上回っている。

通貨に目を向けると、主要6通貨に対するドル指数は03年以来の低調さだ。その裏側としてユーロは年初来で13%上昇している。

これに伴って東欧通貨も買われ、特にチェココルナは約19%と今年最も値上がりした。中央銀行がコルナの対ユーロ相場上限を撤廃したのがきっかけだが、その後は力強い経済成長と2回の利上げに後押しされた。

昨年の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した後、対ドルで16%下落したポンドはほぼ半値を戻した。

債券市場では、ドイツ国債とイタリア国債の上昇率がそれぞれ13%と16%で、新興国の現地通貨建て債の14.2%と好勝負を展開している。対照的に米国債はほとんど値上がりしていない。近年素晴らしい成績を残してきたベネズエラ国債は、デフォルト(債務不履行)懸念が痛手となった。

コモディティーは、中国の景気動向と高い相関性を持つ銅が25%強、原油が13%強上昇。金は2011年以来の堅調相場となり、パラジウムも50%を超える値上がりを見せた。

(Marc Jones記者)

ロイター
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