ニュース速報

ビジネス

ECBが緩和バイアス削除協議、市場混乱強く警戒=議事要旨

2017年07月07日(金)02時38分

 7月6日、ECBが、債券買い入れプログラムを必要なら強化するとの文言を削除する可能性が出てきた(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が公表した6月7─8日開催の理事会議事要旨によると、必要に応じて資産買い入れを拡大するとの従来の文言について、当局者が削除することを協議していたことが明らかになった。

ECBはこのいわゆる「緩和バイアス」の削除を検討する一方、これに伴う市場の混乱を強く警戒しており、行動を急がない公算が大きいことも示された。

ECBは6月の会合で、ユーロ圏景気は回復しているものの、なおインフレ加速には至っていないとして、文言削除を見送った。だが議事要旨では「インフレ見通しへの確信が一段と高まれば、このバイアスを維持するか見直す可能性がある」と指摘している。

議事要旨ではまた、「引き続きコミュニケーションに慎重を期す」必要性を強調。金融緩和の解除に向かっているとの見方から金融市場が動揺し、これまでの取り組みを阻害しかねないと懸念していることを浮き彫りにした。

さらに成長加速や失業率低下にもかかわらず、コアインフレ見通しを下方修正せざるを得ないのは「不可解」との認識も示された。

議事要旨の公表を受けて、市場ではテーパリング(資産買い入れ縮小)観測が高まり、独連邦債利回りは1年半ぶりの水準に跳ね上がったほか、ユーロも小幅高となった。先週には、ドラギECB総裁が政策の微調整を示唆したことで、来年のテーパリング開始を9月にも発表するとの見方から、利回りが大幅上昇していた経緯がある。

INGのエコノミスト、カーステン・ブレセスキ氏は「ECBはゆっくりとした足取りでテーパリングへと向かっている」とし、「『テーパータントラム』への警戒から、極めて緩やか、かつ用心深く進めるだろう」と述べる。

ECBの資産買い入れは年末まで続く見通しで、買い入れ期間の延長、規模縮小などを9月か10月に決めるとみられている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中