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国債買入80兆円めど、残した方が市場に余計な混乱招かない=岩田日銀副総裁

2017年06月22日(木)17時42分

 6月22日、日銀の岩田規久男副総裁は、青森市内で会見し、国債買い入れペースとして掲げている年間約80兆円のめどについて、残しておいた方が市場に余計な混乱を招かないとの認識を示した。写真は都内で16日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[青森市 22日 ロイター] - 日銀の岩田規久男副総裁は22日、青森市内で会見し、国債買い入れペースとして掲げている年間約80兆円のめどについて、残しておいた方が市場に余計な混乱を招かないとの認識を示した。

現在の日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで長短金利を操作目標にしているが、国債買い入れについても年間約80兆円をめどに保有残高を増加させる方針を掲げている。

これまでの国債買い入れの減額によって、すでに買い入れペースは年間60兆円程度に減少しているとの見方もあり、市場では80兆円めどの形骸化も指摘されている。

この点について岩田副総裁は、YCC政策を推進する中で、市場金利の変動に合わせて「国債の買い入れ額は自動的に変動せざるを得ない」としながらも、80兆円のめどを残しておいた方が「金融政策としては運営がうまくいく」との見方を示した。

具体的には、海外を中心に先行きリスクが多い中で「80兆円よりも多く買い入れないと、イールドカーブがコントロールできなくなる可能性もある」と述べるとともに、80兆円のめどを残した方が、市場に「余計な混乱」を招かない、ことを挙げた。

また、上場投資信託(ETF)の買い入れについては「長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの一つ」であり、物価2%目標の「早期実現に必要な政策」と強調。株式市場を歪めているとの批判もあるが、「特定の株価水準は念頭に置いておらず、目的にもしていない」と語った。

<物価見通し、民間が日銀に近づく>

午前の講演では、足元の物価上昇率が「緩慢であることは認めざるを得ない」とし、背景に日本の予想物価上昇率が実際の物価の影響を受けやすいことなどを挙げた。

会見では今後について、実際の物価が上がってくることで、「予想物価上昇率も、足元だけでなく、もう少し先をみながら予想するようになる」と指摘。先行きの物価見通しも、楽観的な日銀と慎重な民間との乖離が大きいが、「今年から来年にかけて、民間の予想が日銀に近づいてくると判断している」と強気の姿勢を維持した。

足元では原油価格が再び下落しているが、原油相場について「一時的な下落はあり得るが、トレンドとしては上昇すると思う」と指摘。原油下落は物価の押し下げ要因となるが、「一時的な上下によって、物価見通しを変えていく必要はない」と語った。

(伊藤純夫 編集:内田慎一)

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