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英中銀、今年の成長予想大幅引き上げ 利上げ急ぐ姿勢示唆せず

2月2日、英中銀は2017年の成長予想を引き上げ、英景気の先行きに明るい見通しを示した。金融政策委員会メンバーの一部はポンド安を背景とするインフレ加速への懸念を表明したが、総じて利上げを急がない姿勢を示唆した。写真は2016年11月、記者会見する英中銀のカーニー総裁(2017年 ロイターJustin Tallis)
[ロンドン 2日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は2日、2017年の成長予想を大きく引き上げ、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定後も底堅さを保っている英景気の先行きに明るい見通しを示した。金融政策委員会メンバーの一部は、ポンド安を背景とするインフレ加速への懸念を表明したが、EU離脱交渉の行方には紆余曲折も見込まれるとし、総じて利上げを急がない姿勢を示唆した。
中銀は事前予想通り、政策金利を0.25%に据え置くことを全会一致で決定。また、国債買い入れ枠を4350億ポンド、社債買い入れ枠を100億ポンドに据え置いた。
同時に公表した四半期のインフレ報告では、2017年の国内総生産(GDP)伸び率見通しを昨年11月時点の見通しの1.4%から2.0%に大きく引き上げた。
インフレ率については、2年後の見通しを11月時点の2.70%から2.56%に、3年後の見通しを2.49%から2.36%にやや引き下げた。
また、インフレ率は18年第2・四半期に2.75%でピークを迎えると予想し、11月時点の見通しの2.83%から引き下げた。
ただ、議事要旨では2%のインフレ目標のオーバーシュートについて、一部の金融政策委員が、容認する限度に「やや近づいている」と考えていることも分かった。
カーニー総裁は会見で、成長見通しの上方修正は、ブレグジットによる景気への影響がないというわけではないと指摘。離脱交渉をめぐる不透明感が企業の投資を抑制しているとし、2015年末以降、設備投資は横ばいが続いていることに言及した。「ブレグジットの旅はまだ始まったばかりだ。行き先は明確だが、途中には紆余曲折もあるだろう」とした。
ただ、中銀がブレグジット後の景気動向を見極める上で、個人消費の強さについては見誤っていたと述べた。
2018年の成長率については1.6%、2019年は1.7%を見込み、11月時点からそれぞれ0.1%ポイントの上方修正にとどめた。インフレ加速により家庭の生活水準が低迷する見通しとしている。
金融市場の反応は、ポンドが下落。英10年債利回りは2カ月ぶりの大幅低下となる見通しで、投資家の利上げ観測が後退したことを示唆した。
注目されるのは、中銀が失業率の均衡水準を4.5%とし、前回の5%から引き下げた点だ。これは現時点の失業率4.8%を下回る。
そのため、今年の成長率は大幅に引き上げたものの、中銀には低金利をさらに長期間維持する余地が生まれたと言えそうだ。
HSBCによると、中銀の発表後、金融市場が織り込む年内利上げの確率は約36%と、先週の50%から低下した。エコノミストは2019年半ばまで利上げはないとみている。
RBCキャピタル・マーケッツのエコノミストは、次回の政策変更は来年の利下げとの予想を維持。ブレグジットに伴うインフレ加速が個人消費や成長に打撃を与えるとみる。
インベステックのエコノミスト、フィリップ・ショー氏は「全体として、金融政策委員会が政策スタンスを変更しようとしている兆しは見られなかった」と話した。
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