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焦点:ドル/円は安値圏で「神経戦」、介入含めた政策対応で思惑交錯

2016年02月12日(金)17時49分

 2月12日、ドル/円の下値不安が増している。写真は都内で昨年8月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 12日 ロイター] - ドル/円の下値不安が増している。世界的なリスクオフが広がるなか、センチメントの悪化に歯止めがかからず、110円割れを視野に入れる市場関係者も増えてきた。当局による為替介入など政策対応への警戒感も高まってきているが、底の見えない恐怖感がドル買い/円売りを控えさせており、安値圏での神経戦となっている。

<当局の動きに敏感な市場>

東京市場の休日明けとなった12日、112円台前半で推移していたドル/円が、正午過ぎに113.02円まで急上昇した。

世界の金融市場でリスク回避ムードが強まる中、日銀の黒田東彦総裁と財務省の浅川雅嗣財務官が相次いで首相官邸に入ったと伝わり、何らかの政策対応が打ち出されるとの思惑が広がったためだ。

だが、間もなく、ドル/円は再び112.50円へと失速。首相官邸から出てきた黒田総裁は「国際金融情勢と世界経済動向について首相と協議した」と述べるにとどまったことで、ひとまず政策対応への思惑が後退した。

日本が祝日だった11日の市場でも、111円前半を推移していたドル/円が113円前半に急反発する場面があった。為替介入のうわさが広がったためだ。

これらの動きで共通するのは、日本の政策当局の対応に対する市場の強い警戒感だ。「相場の地合いは悪いままだが、政策期待が高まれば、反転する可能性がある。短期筋は、ドル急落と政策発動、両面の恐怖に板挟みとなっている」(国内金融機関)という。

<投機筋も戦々恐々>

外為市場では年初から、世界経済への懸念や原油安、欧米金融機関への財務不安などのリスク要因が相次いでテーマに浮上し、比較的安全とみなされている円に資金シフトが起きている。

10─11日にはイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言があったが、米金利は年内に緩やかに上昇していくとの従来からの考えをあらためて表明。総じてハト派的な内容と市場で受け止められた。

ただ、市場では安心感は広まらず、世界経済のけん引役がいなくなるという不安感が強まってしまった。

IMM通貨先物における投機筋のポジションは、アベノミクス相場が始まった2012年後半以降、一貫して円売り越しだったが、年初からの荒れ相場で円買い越しに転換。日銀のマイナス金利導入で円買い越しは約1万枚減ったが、その後の1週間で、再び円高が急速に進んでおり、直近では「円買い越しは再び膨らんでいそうだ」(国内金融機関)との見方が多い。

ただ、短期筋の間でも「前のめりでドル売り/円買いのポジションを組んでいる人は必ずしも多くない」(米系金融機関)との指摘もある。昨夏の人民元引き下げ後の混乱や、市場の失望を招いた12月欧州中央銀行(ECB)理事会後のユーロ急騰、年初からの荒れ相場と、相場の急変動が続いたことで、投機筋の多くは体力を消耗しているという。

<3月までに110円割れの予想>

ドル/円は、約2週間で10円の円高が進んだ。為替の動きが激しくなっているのは、市場参加者が少なくなっていることも大きな要因だろう。休暇明けの東京市場では、久々の111─112円台で始まったものの、輸入企業の積極的なドル買いは出なかったもよう。

複数のFX会社からは「値動きの激しさの前に、個人投資家の間では手控えムードが出ている」との指摘が聞かれた。

先行きの見通しとしては、円高の予想が強まってきている。三菱東京UFJ銀行・チーフアナリスト、内田稔氏は、日米金利差からみれば2014年以降の適正水準は、110円割れだったと指摘する。

だが、米利上げや日銀緩和への期待で10円以上、押し上げられていたと分析。政策期待が後退する中で、年度末のリパトリエーション(資金の本国還流)や投機的な円買いが加われば、3月末までに107─108円程度までの下落もあり得るとみている。

みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏も、歴史的にドル/円の上値めどは企業物価ベースで見た購買力平価と重なると指摘。これが今は100円であるほか、経済協力開発機構(OECD)や世界銀行算出の購買力平価は105円だとして、3月末までに「100─105円への下落があってもおかしくない」と話している。

この一方で、短期的には、日本当局による為替介入への思惑が浮上している。先進国の通貨安誘導を目的とした為替介入は「禁じ手」だが、急激な為替変動を押さえるための「スムージング介入」まで排除されているわけではない。「2週間足らずで10円幅という急激な円高進行は、為替介入を正当化する」(邦銀)との声も出ている。

各国の協調介入でなければ、効果は限定的との見方もあるが「実際に為替介入があれば、ドル/円は少なくとも2─3円は吹き上がる」(国内金融機関)との見方もある。

ドルショートを組んでいる投機筋の間では、政策発動に備え、ドル買い戻し/円売り戻しのポイントを現行相場に近づける動きが観測され「反発の際には、上げ足が速まりそうだ」(国内金融機関)との指摘もある。

りそな銀行のシニアクライアントマネージャー、尾股正寿氏は、目先の相場について「適当な水準が誰にもわからず、上下に振れやすくなっている」と話していた。

(平田紀之 編集:田巻一彦)

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