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緊急市場調査:3月末までにドル110円割れも=三菱東京UFJ銀 内田氏

2016年02月12日(金)14時11分

 2月12日、1年3カ月ぶりの水準にドル安/円高が進んだ背景について、三菱東京UFJ銀行のチーフアナリスト、内田稔氏は、米国の景気減速懸念が大きく作用したと指摘する。写真は都内で昨年9月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - 1年3カ月ぶりの水準にドル安/円高が進んだ背景について、三菱東京UFJ銀行のチーフアナリスト、内田稔氏は、米国の景気減速懸念が大きく作用したと指摘する。

世界経済のけん引役不在に対する不安心理に投機的な円買いが加わり、経常黒字や実質金利上昇と相まって、3月末までに110円割れの展開も想定されるという。

12日午前、ロイターのインタビューに答えた。   

──市場に広がるリスクオフの背景には何があるか。   

    「世界的に低成長な中で米国が金融政策の正常化に踏み切ったことがリスクオフの根源にある。雇用関連以外の経済指標が振るわず、米景気に懐疑的な見方が出てきていたところにイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が追加利上げに慎重な姿勢を示した。本来は安心感が広がってもいい話だが、世界経済のけん引役がいなくなるという不安心理が急速に浮上してきた」    

──3月末までのドル/円の見通しは。   

    「日米間の実質金利差から逆算すると、2014年以降、110円割れの水準が適正という状況が続いていた。米利上げに向けたドル高期待と日銀の緩和政策による円安期待がその水準から10円以上押し上げていたが、その2つの期待が剥落した今、理論値の水準まで落ちても不思議ではない。3月末に向けては、日本の投資家や企業によるリパトリエーション(資金の本国還流)で円高圧力が強まりやすい。そこに投機筋のリスクテーク的な円買いが加わると、107─108円程度までの下落もあり得る」   

──市場の安定化に向けて政策期待も高まりそうだが、考えられる方策は。   

「ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の追加緩和示唆と日銀のマイナス金利政策導入だけでは効かなかったことを考えると、欧米の緩和スタンスに米国も加わってくるというのは一つある。新興国の資本流出を規制で止めたり、為替の協調介入したりという話も出てくる可能性がある。ただ、ドル安円高材料の方が多いだけに、ドル安/円高進行のスピードを抑えることはできても、流れをひっくり返すのはなかなか難しそうだ」

*見出しを修正しました。   

(杉山健太郎 :編集 橋本俊樹)

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