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ギリシャ首相、反緊縮の強硬姿勢崩さず 総選挙の可能性も浮上

2015年06月06日(土)07時21分

 6月5日、ギリシャのチプラス首相は、債権団側の提案は「非現実的」で「ばかげている」とした。写真はアテネで5日撮影(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

[アテネ 5日 ロイター] - ギリシャのチプラス首相は5日、国際債権団から提示された支援条件を拒否したことを受けて議会で演説し、自身の判断に理解を求めた。

「ギリシャはばかげた提案には同意できない」とし、5年にわたる緊縮措置を経ても、さらなる増税や年金減額などを債権団が要求している点をあらためて批判。ギリシャが今週、債権団に提出した案が唯一の現実的な合意の土台となるとの認識を示した。

また債権団との支援協議で債務減免の確約を得られなければ、合意する意向はないとも言明。労働者の集団的交渉権を再導入する法律を制定する姿勢を示し、ギリシャの要求が満たされない場合は、一方的な行動に出る考えも示唆した。

最新の世論調査によると、債権団が支援の見返りに要求している改革案について、受け入れを賛成する人が47%、反対が35%と、賛成派が反対派を上回っていることが分かった。

だがチプラス首相は強硬姿勢を崩さず、同時にギリシャの提案は債権団の要望を踏まえているとし、「これまでで最も合意に近付いている」との見通しを示した。

ギリシャは、この日期限を迎える国際通貨基金(IMF)融資3億ユーロの返済を先送りした。6月の計4回の返済については月末に一括払いする。ギリシャが支援を受けた過去5年に返済を延期したのはこれが初めて。

チプラス首相の演説に先立ち、保健・社会保障省のストラトゥリス次官は、債権団が支援条件を緩和しない場合、政府は早期に総選挙を実施する可能性があると示唆。交渉打開に加え、改革受け入れという厳しい決定を下すことに対し国民の理解を得る唯一の方法とした。

欧州金融市場では、ギリシャの支援協議が決裂するとの懸念から欧州株が下落。ギリシャの国債利回りは跳ね上がった。

現行のギリシャ支援策は月内に期限を迎える。土壇場での合意を予想する声がなお大勢だが、時間切れの様相も濃くなっており、そうなればギリシャのデフォルト(債務不履行)は確実で、ユーロ離脱も現実味を帯びる。

ロイター
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