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ヴィズマーラ恵子|イタリア

イタリア「グリーンパス」レストラン入店にも提示を義務化へ

iStock-VioletaStoimenova Defocused young man sitting in his car and showing smartphone with valid digital vaccination certificate for COVID-19. Focus is on the phone.

| グリーンパスが義務化されたイタリア

7月22日(木)、イタリアは閣僚評議会によってグリーンパス法令が承認された。
8月6日から義務付けられるグリーンパスは、屋内レストランへの入店、映画館・劇場、一般公開のショー、スポーツイベントや競技会、美術館、その他の文化施設、文化センター、社会公共施設およびレクリエーションセンター、スイミングプール、ジム、ウェルネスセンター、見本市、フェスティバル、会議、スパ、テーマパーク、フェア、遊園地、ゲームルーム、ビンゴホールおよびカジノの活動、および破産手続きに行く際にグリーンパスが必須アイテムとなる。

グリーンパスが必要ない場所として、子供向けの教育センター、サマーセンター、および関連するケータリング活動への入場には使用されない。

※グリーンパスとは、イタリアでは6月17日から、そしてヨーロッパでは7月1日から稼働しているCovidパンデミック中に自由に循環するために必要な条件の1つを証明する個別の文書のことをいう。

法令で義務化するということは、違反すれば制裁措置もある。

【制裁】
グリーンパスの提示時​​に許可されたサービスおよび活動の所有者または管理者は、アクセスが要件に準拠して行われていることを確認する必要があり、違反した場合、オペレーターとユーザーの両方に400〜1000ユーロの罰金が科せられる。
違反が3日間に3回繰り返された場合は、営業停止1〜10日間。

ドラギ首相は会見で、

「グリーンパスは恣意的な判断ではありません。ワクチン接種を受けないようにという誘いは死への誘いです。フランスや米国よりもドイツに匹敵する私たちの行政のスピードは安心しなければなりません。グリーンパスの使用を延長することは恣意的ではなく、国を再開するための条件なのです。私たちは、この夏が平和であり続けることを望んでいます。グリーンパス証明書は、我々がコロナウイルスに感染した人々の中にいないことを保証し、活動を継続できるようにするためのツールです。それは日常に静けさを与える手段であり、グリーンパスがそれ(安心と安全と日常の静けさ)を奪うということはありません。」

と、閣僚評議会によって承認されたグリーンパスに関する新法令で採択された措置を発表した。

続けて、新しいパラメータをスペランザ保健大臣が発表した。

イエローゾーンになるのは、集中治療室の占有率が10%、医療領域で15%に達した場合。
オレンジゾーンになるのは、集中治療室20%と医療領域で30%。
レッドゾーンになるのは、集中治療室で3​​0%、医療分野で40%に達した場合。


| イタリアは、フランスモデルをまねした

7月13日、フランスのマクロン大統領が「脆弱な人々と接触する人には、9月15日までにワクチンの接種をする事」というワクチン接種義務化を発表した。
7月21日からワクチン接種を受けた人、または陰性と判定された人だけが、 50人以上を収容する映画館や美術館や文化施設などの場所に入ることができる。8月からバー、レストラン、飛行機、電車に入るのにヘルスパスが不可欠になるという。

フランスは、思い切った大胆な政策を急に出してきたな・・・と、お隣の国の政策だからイタリアは関係ないと思いながら、初回ワクチン接種の認証コードを悠長に待っていたところだった。
まさか、イタリアもフランスモデルを取り入れるとは当初は考えもしていなかった。

マクロン大統領がヘルスパスの義務化を発表してから24時間以内に、フランスでは100万人以上がヘルスパスの取得をするためにアプリをダウンロードをし、申請する資格を得るための措置を講じるために、ワクチンの予約をしたという。そして、10日後、その数は430万に増加したそうだ。

詳しくは、フランス在住のRIKAママさんの記事がとてもわかりやすい。

フランス国民を一気にワクチン接種に向かわせたマクロン大統領のスピーチ


| グリーンパス、ルール

ワクチンを少なくとも1回接種する (または陰性証明)または病気からの回復を証明するグリーンパスを12歳以上の全イタリア市民が必要となった。
ワクチンを1回または2回接種したかどうかによって異なる使用規則がある。
完全グリーンパスは2回目の接種から14日後に取得することができる。
2回接種の完全グリーンパスは、海外旅行に行くときやイタリアでの結婚式や高齢者施設(RSA:Residenza Sanitaria Assistenziale)にアクセスするのときには必要である。

この完全グリーンパス(2回接種)は旅行者には必須である。また、入国規則に関しては、国ごとに特定の規則があり、各国が異なる措置を講じている。

旅行をする前に、仕向国が要求しているものが何なのか、Farnesinaが管理するViaggiaresicuriのWebサイトにリストされている書類を確認することが不可欠である。

さらに、ヨーロッパ圏内で旅行する場合は、欧州連合のWebサイトRe-open Euにアクセスして、各国の規則を調べ確認したりすることを勧めている。

これらの準備下調べをしていない旅行者は、出国できず空港でブロックされるリスクがある。

イタリアでは、まだワクチン接種を行っていない人も含め、グリーンパスの取得とダウンロードは簡単ですぐに実行できる(携帯にSMSで、dgc.gov.itからダウンロードするための認証コードコードが届く)またはImmuniアプリから、またはIOアプリに直接つなげることができる)が、ダウンロードできないや認証コードが読み込まれないなど、まだ完全に解決されていない問題がいくつかあるという。

保健省は外務省とともにこれらの問題について調査しており、7月末までには問題が解決できるよう早期の改善に取り組んでいる。

ダウンロードなどの際に不具合があったとしても、考慮すべき2つの重要なことは、


1、現在イタリアでは、予防接種を証明する紙での文書がグリーンパスとして受け入れられていると言う事である。

ワクチン接種を行った接種会場で、接種直後に証明用紙を印刷した用紙を渡される。
そこには、接種した日時、ワクチンの種類(ファイザー/モデルナ/アストラゼネカ /J&J)が記載されてある。

イタリアで予防接種を受けた場合、1回目の最初の投与では15日後、そして2回目の投与から数日後に、通常ならば認証コードパスが自動的に送られてくるものなのだが、何らかの原因でSMSでパスが待てど暮らせど届かず、受け取っていない場合は、接種を受けた会場でパスを受けることができる。

※8月12日まで、紙の証明書はヨーロッパへの旅行にも有効。
7月1日より前に発行されたヨーロッパの国での予防接種、ネガティブスワブと治癒証明が必要。

さらに、グリーンパスの発行について、イスラエルや英国などのEU以外の国で予防接種を受け、 8月からイタリアに戻ったイタリア市民も、ヘルスカードシステムを介してASLに予防接種データの送信を要求できる。

最も一般的な問題は、データフローに関与するエンティティ間の通信の問題によるコードの未受信という問題があった。おそらくdgc.gov.itプラットフォーム上(携帯電話番号でなく代わりに電子メールアドレスを記入した場合)code.dgcのアクティビティは停止されていたようであるとのこと。

IOアプリまたは電子IDカードを持っていない人やCieアプリが使用できないなどの問題がある場合は、

2、フリーダイヤル1500(24時間アクティブ)に電話する

アドホックオンラインセクションではすぐに利用できるようになり問題は解決できる。
コードを紛失した人も同じことで失われたコードを要求するために、1500に電話をすることをお勧めする。


イタリアでは、過去12か月間にCovid-19から回復した人は、ワクチンを1回だけ注射する必要がある。
コロナウイルスに対する抗体をすでに持っているため治癒から6か月間はワクチンの接種は不要である。
6ヶ月後にワクチンを投与後、数日で9か月間(ワクチン接種サイクルの終了時に提供される)有効なグリーンパスに代わる。

ワクチンの初回投与をすでに受けた後に、コロナウイルスに感染し病気になった人は、グリーンヒーリングパスを6か月間有効にすることができる。
2回目のワクチン接種をすると、予防接種のグリーンパスが9か月間有効になるが、これには変更や明確化しなければいけない課題があり、今後改善しなければいけないだろう。

教師のキアラ・フォッシさん(48歳)は、グリーンパスの欠陥を指摘している。
彼女の報告によると、アストラゼネカワクチンを2回接種した1ヶ月後にデルタ株に感染した。
しかし、グリーンパスを取得することができているので、それがあれば自由に出かけることができるという。EUデジタルCOVID証明書としては有効であるので、常識のない人ならば隔離なしにグリーンパスを出して外出ができてしまうといっている。
こういったイレギュラーな事例が出る度に、このイタリアのグリーンパスの欠陥とその改善点が明るみになっている。

| ワクチンラッシュが始まった場合の計画

社会心理学の観点から、今後2〜3週間後に予防接種キャンペーンで新規予約が急増しピークに達する見込みだという。
それが昨日、地域会議の議長であるマッシミリアーノ・フェドリーガが、地域問題担当大臣のマリアステッラ・ゲルミニと保健大臣ロベルト・スペランツァに説明したのはテーマであった。

フランスの例では、パス義務化が発表された直後に900,000人がワクチンの予約をしたという。
新規予約が急増している場合でも、ファイザーとモデルナの新規供給を見越して、予約から管理までの期間は7〜10日を超えてはならない。
イタリアは、このグリーンパスの義務化が決定した今日、330万回分の在庫が用意されていると発表をした。

イタリアの病院の冷蔵庫や予防接種ハブには、60歳未満で許可されている唯一のメッセンジャーRNAが約330万回分確保されているという。
8月に約1500万回の投与となる製剤が新たに提供されることも決定した。
これらはまだ地域によって管理されていない資源であり、理論的にはリコールのバッファーとして摂取される分であるが、地域での発生を消滅させるのにも役に立つ。
イタリア向けのワクチン供給品の95%に当たる投与量260万回分はファイザー社製のものである。約70万人分がモデルナ社製のワクチン。


12歳以上の2,000万人近くがまだワクチンを接種していない。ワクチンが品薄になることが心配である。
少なくとも3470万人の人々がワクチンを持っていて、潜在的にワクチンを接種する資格のある人はまだ5430万人もいるのがイタリアの現状である。

また同時に、学校職員への予防接種の推進は続いている。
昨日、COVID-19パンデミックを封じ込めるための健康対策の実施に関する特別委員に任命されたイタリア軍団将軍フランチェスコ・パオロ・フィグリウオロは、8月20日までにワクチン未接種の数値報告を求めた地域に2通目の手紙を送った。
文部省は、予防接種の「倫理的かつ忠実な」価値が表明されているすべての大統領府にとの内容が書かれているという。
12歳〜19歳への接種キャンペーンは行政にとって優先すべき重要事項であり、学校が再開する9月までに60%の若年層の子ども達がワクチン接種を完了できることを目標としている。

| 私は、7月9日に第一回目のワクチン接種をした


こちらイタリアでも、予約した人がその予約時間に接種会場に来なかったなどの理由で、時間が経ってしまったワクチンが廃棄処分になるという事は多々ある。
貴重なワクチンが廃棄されるのは"勿体ない"。そのキャンセル分を接種してくれないとか、知り合いの会場で働いている看護師と医師に頼んでいた。すると、急遽、明日ワクチン会場にくるようにという知らせがあり、翌日、指定された住所へ駆けつけたという流れである。

心の準備などなく、モデルナ製のものを接種された。

ロンバルディア州はワクチンの種類を自分では選べない。
どこのメーカーのワクチンを投与されたのかは、接種後に渡されたワクチン接種証明書の用紙を見て、自分が接種したのがモデルナ社製のものであると分かった。
その用紙は、ワクチン証明書兼、2回目の予約用紙にもなるので大切な控えである。

イタリアでは60歳未満の特に女性には、アストラゼネカの接種が禁止されている。
なので、投与されるのはファイザー社製かモデルナ社製だろうと予測はできていた。

医師からの問診が8分間ほど。

・氏名の確認
・(仮)保険証の読み込みエラー
・問診時に筆者が二重マスクだったことへの注意。下に付けていた除菌システム再生可能マスクN99についての批判と医師からのしつこい説教(←ワクチン打った後は、すぐ外しなさい。息ができなくなっても責任持たないわよ!)
・何らかのアレルギーはあるか
・現在治療中の病気など基礎疾患はあるか
・これまで薬物でアレルギー反応などあったか
・今朝は何か薬を服用したか
・ホルモン治療などはしているか
・そもそもあなたた何歳?と、最後に差し掛かり年齢確認
・これまでコロナウイルスに感染したことがあるか
・熱はあるか
・利き手はどちら?

接種後の副反応があるかもしれないという説明、その時の対処の仕方を教えてもらえた。

・頭痛や熱が出た場合は、タキピリーナ500を服用すること。1日3錠まで
・注射部分はマッサージをしてはいけない
・水分を十分に取ること
・腕が痛くなったら氷で冷やす事
・15分会場から出てはいけない、アレルギー反応が出ないかを確認するために休憩する事。

携帯にはSMSで2回目接種の予約が完了したというメッセージが届いた。
次回は8月18日である。

イタリアでは現在は、どのワクチンでも2回目の接種は1回目接種日から40日後とされている。
ということは、2回目完了の完全グリーンパスというものは、8月中旬まで取得できないので、海外への渡航もできないということになる。
1回目だけは接種できたので、身体的にはコロナウイルスに感染する確率がグッと下がり、カバーされたことになる。
ワクチンの有効性の詳細は、ワクチン未接種の人との間で診断された症例と比較して測定・分割されている。

-感染に対して:1単回投与後に71.33%有効、2回の投与後に88.52%有効
-重症化・入院:1回投与94.57%、2回投与80.83%
-集中治療室:1回投与88.08%、2回投与97.3%
-死亡:1回79.01%、2回95.8%

精神的にも少し楽になった感じがする。100%安全ということではないし、コロナウイルスに感染しないという保証もない。
イタリアは、6月末にマスクの着用義務はなくなったが、今後も着用し続ける。念には念を入れたいものだ。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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