コラム

桜散る甲州街道 「俗界富士」が見える町へ

2019年05月09日(木)13時40分

撮影:内村コースケ

第7回 梁川駅(山梨県大月市)→大月駅前
<平成が終わり、東京オリンピックが開催される2019年から2020年にかけて、日本は変革期を迎える。名実共に「戦後」が終わり、2020年代は新しい世代が新しい日本を築いていくことになるだろう。その新時代の幕開けを、飾らない日常を歩きながら体感したい。そう思って、東京の晴海埠頭から、新潟県糸魚川市の日本海を目指して歩き始めた>

◆1日約8時間・15〜20kmの歩行ルートを繋ぐ「歩き旅」

01001a.jpg

「日本横断徒歩の旅」全行程の想定最短ルート :Googleマップより

map2.jpg

これまでの6回で歩いてきたルート:YAMAP「活動データ」より

東京から日本海側の新潟県を目指し、リレー形式で繋いでいくこの徒歩の旅は、今回で7回目。ここまでのパターンは次のような感じだ。朝9時ごろに前回ゴール地点(たいていは駅前)からスタートし、甲州街道(国道20号)を目安に、面白そうな裏道・脇道に外れつつ西へ進む。日没前後に手近な駅やバス停で一旦終了し、公共交通機関かあらかじめコインパーキングに停めておいた車で帰宅。これを1〜2週間おきに繰り返して、上の地図の徒歩ルートを繋いできた。

1回の歩行時間は8時間前後、距離は15kmから20km程度だ。東京都内は市街地のウォーキングを4回で歩ききり、都県境超えで軽登山を挟んで、前回からは田舎町の歩きになっている。そのように歩く舞台が変わっても、歩行のペースはほぼ一緒だ。ここまで単独行が1回、その他の5回は同行者1〜4人だったが、人数によるペースの違いもなかった。尚、全歩行記録は、登山情報サイトYAMAP(ヤマップ)を利用して、スマートフォンのGPSで軌跡を記録している。各回の記録は、YAMAPの活動日記として記事未掲載分の写真と共に公開しているので、興味のある方は参照してほしい。

また、この旅では、記事の執筆のほかに、自分のライフワークであるストリート・スナップの写真撮影を主目的にしている。1回あたりの総ショット数は600〜1000枚(同じ構図で連射したカットを含む)で、そのうち80〜100枚を編集して残し、記事に掲載するのは20枚前後というパターンも確立されてきた。歩くことだけに集中すれば、1回あたりの歩行距離はもっと伸ばせるだろうが、「道中を楽しみながら見聞する」ことを目的とした日本の徒歩旅行の標準的なペースとして、参考になるのではないだろうか。

7R305260.jpg

今回はJR中央本線・梁川駅から単独でスタート。これまでも、前回ゴール地点から再スタートする形で東京湾岸からの6回分の歩行ルートを繋いできた=山梨県大月市

◆繊細な季節の移ろいを感じながら

7R305351.jpg

約1週間ぶりの甲斐路は桜が散り始めていた=山梨県大月市梁川駅付近

7R305392.jpg

桜と花桃で彩られた線路沿いの生活道路を進んだ=山梨県大月市梁川駅付近

そんなわけで、今回も午前9時過ぎに前回ゴール地点のJR中央本線・梁川駅に鉄道で到着。証拠の自撮り写真を撮ってから歩き始めた。梁川駅は、山梨県大月市の東寄りの甲州街道(国道20号)沿いにある。この旅は、新旧甲州街道を辿ることそのものが目的ではないので、交通量が多い国道はなるべく避け、脇道・裏道を探しながら歩いてきた。今回も、駅の反対側に出て線路沿いの生活道路から歩き始めた。

桜が満開だった前回から1週間余り。この日(2019年4月15日)の甲斐路は、桜が散り始め、山肌の木々に若葉がつき始めていた。春の後半戦のスタートといったところだ。旅の間隔は、1〜2週間おきというペースに落ち着いているが、日本の繊細な季節の移ろいを実感できる良いペースではないだろうか。この「繊細な季節感」という要素は、日本の風景の最大の魅力だ。

プロフィール

内村コースケ

1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。外交官だった父の転勤で少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験。かねてから希望していたカメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、海外ニュース、帰国子女教育、地方移住、ペット・動物愛護問題などをテーマに執筆・撮影活動をしている。日本写真家協会(JPS)会員

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ワールド

原油供給余剰、26年に若干拡大へ ゴールドマン予想

ワールド

アダムズNY市長、引き続き再選目指す意向 トランプ

ワールド

茂木自民前幹事長、総裁選出馬へ 林官房長官も意向固

ワールド

首相退陣は大変無念、引き続き政策課題への対応に取り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給与は「最低賃金の3分の1」以下、未払いも
  • 3
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接近する「超巨大生物」の姿に恐怖と驚きの声「手を仕舞って!」
  • 4
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 5
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 6
    コスプレを生んだ日本と海外の文化相互作用
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 9
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 10
    「日本語のクチコミは信じるな」...豪ワーホリ「悪徳…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 10
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story