「女性蔑視発言」に揺れる日本、真の(非中国的)男女平等を目指せ
日本では最近、選挙で一定の議席や候補者を女性に割り当てる「クオータ制」の導入が議論されている。約120の国や地域が導入を進める男女平等実現のための制度だ。
ただ、「これで日本も男女平等な国になる」とは、私は素直に思えない。
確かに中国は、毛沢東の鶴の一声で大きく変わった。だがこれは人工的・強制的につくり上げた男女平等であり、人々が意識を変えて実現した真の平等ではない。
そのため、法を遵守する都会と違い、農村に行けば今も男尊女卑の考えが色濃く残っている。女性はモノのように扱われ、妊娠しても女の子だと堕胎することもある。
日本もクオータ制の「一声」で変われるかもしれないが、人工的な平等でいいのだろうか。
例えばアメリカでは、大学入試などで人種差別撤廃のために実施されている差別是正措置(アファーマティブ・アクション)が、「逆差別」だとして白人の反発を招き、社会に軋轢を生んでいるとも聞く。
日本の男女間でそうした軋轢が生じないとも限らない。だからこそ、人々が自ら声を上げ、男女平等の意識を広げていくことが最善で最も効果的な方法だと思う。
今回の森さんの「失言」は、その良いきっかけになる。単に揚げ足を取るのでなく、これを機に社会全体で前向きな議論を進めるのだ。そうすれば日本も、男女平等へ向け一歩前進できるだろう。
中国のように上から強制しても、意識の変化が伴わなければ完全な男女平等は実現しない。
そもそも、中国みたいに強制することなんて日本にはできないでしょ?
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。
アマゾンに飛びます
2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い 2025.12.07
死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の意味を考えていない 2025.12.06
高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい 2025.12.03
文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗り越えられる 2025.11.13
外国人投資家の不動産爆買いに迷惑しているのは日本人だけではない 2025.10.23
報じられなかった中国人の「美談」 2025.10.22
ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳 2025.10.17






