最新記事
日米首脳会談

イラン情勢は、日本の「見えざる戦争」...高市・トランプ会談で、日本が直視すべき「9つの現実」

2026年3月19日(木)12時56分
IGSI(国際インテリジェンス戦略研究所)

米国はまったく違うポジションに立っている

一方、米国はまったく違うポジションに立っている。ブレント原油が103ドル台に乗れば、米国のシェール業者にはむしろ追い風になる。しかも、ホルムズ海峡経由で米国が受け取る石油は約2%にすぎない。米政府支出を監視する「DataRepublican」の分析によれば、紛争期間中、米国はエネルギーコスト面でアジア諸国に対して1日あたり約2億5000万ドルを節約しているという。

これは感情論ではなく、はっきりとわかる非対称性だ。米国が始めた戦争によって商品価格が上昇し、日本がそのコストを吸収している。日本の企業経営者や政策担当者も、前提として織り込まなければならない石油市場の構造的現実である。米国と日本は、この紛争の長期化や解決において、同じ経済的利益を共有していない。

本稿では、こうしたイラン情勢の現実を踏まえたうえで、目前に迫る高市首相とトランプ大統領の首脳会談が何を問われ、何を引き起こしうるのかを考えてみたい。そのためにまず確認すべきなのは、日本の報道が前面に出していない9つのポイントである。

米国によるイランへの攻撃作戦の17日目まで、日本の主要メディアが描いてきた構図は比較的単純だった。原油価格が上がり、政府は備蓄を放出し、海運は混乱している。高市政権は同盟関係を維持しながら、安易な言質を与えないよう慎重に立ち回っている──。その説明自体は間違いではない。だが、危機の全体像を掴むにはあまりにも不十分だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

経済・物価見通し実現なら引き続き政策金利引き上げ、

ワールド

中国、3年以内にポスト量子暗号に関する国家標準策定

ワールド

iPhone数億台に侵入可能なマルウエア、ウクライ

ワールド

米副大統領、近くハンガリー訪問へ 選挙控えるオルバ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中