イラン情勢は、日本の「見えざる戦争」...高市・トランプ会談で、日本が直視すべき「9つの現実」
米国はまったく違うポジションに立っている
一方、米国はまったく違うポジションに立っている。ブレント原油が103ドル台に乗れば、米国のシェール業者にはむしろ追い風になる。しかも、ホルムズ海峡経由で米国が受け取る石油は約2%にすぎない。米政府支出を監視する「DataRepublican」の分析によれば、紛争期間中、米国はエネルギーコスト面でアジア諸国に対して1日あたり約2億5000万ドルを節約しているという。
これは感情論ではなく、はっきりとわかる非対称性だ。米国が始めた戦争によって商品価格が上昇し、日本がそのコストを吸収している。日本の企業経営者や政策担当者も、前提として織り込まなければならない石油市場の構造的現実である。米国と日本は、この紛争の長期化や解決において、同じ経済的利益を共有していない。
本稿では、こうしたイラン情勢の現実を踏まえたうえで、目前に迫る高市首相とトランプ大統領の首脳会談が何を問われ、何を引き起こしうるのかを考えてみたい。そのためにまず確認すべきなのは、日本の報道が前面に出していない9つのポイントである。
米国によるイランへの攻撃作戦の17日目まで、日本の主要メディアが描いてきた構図は比較的単純だった。原油価格が上がり、政府は備蓄を放出し、海運は混乱している。高市政権は同盟関係を維持しながら、安易な言質を与えないよう慎重に立ち回っている──。その説明自体は間違いではない。だが、危機の全体像を掴むにはあまりにも不十分だ。





