ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る、原油価格を下げる「唯一の方法」とは
What’s the Easiest Way to Lower Oil Prices?
イランに戦争を吹っ掛けた代償
オックスフォード・エコノミクスは、戦争が継続した場合のシナリオを試算。経済的損害は深刻かつ広範なものになるとした。
ブレント原油は2カ月の間、1バレル当たり平均140ドルとなり、世界の実質GDPは年末までに0.7%押し下げる。失業率は上昇し、イギリス、ユーロ圏、日本は緩やかな景気後退に陥る。アメリカのインフレ率は第2四半期に5%でピークに達し、その後も年間を通じて高止まりし、予測より1.4ポイント高くなる。世界のインフレ率は5.8%に跳ね上がり、2022年以来の高水準となる。
オックスフォード・エコノミクスのアメリカ担当チーフエコノミストであるバーナード・ヤロスは本誌に対し、この衝撃を抑え込むための手段には限界があると語った。
「戦略石油備蓄の放出は、一時的な供給の混乱に対応するための措置だ。もし紛争が長期化するなら、それに頼り続けることはできない」
イムシロビッチも本誌に対し、「終わりのない戦争になれば、原油は1バレル200ドルになるだろう。その点に疑いはない。供給不足は甚大なものとなり、高価格によって需要は破壊され、経済は大打撃を受ける」と、戦争長期化のリスクを指摘した。
戦争や制裁の経済的影響を研究する米コーネル大学のニコラス・マルダー教授は本誌に対し、問題は経済的損害だけではなく、政治的影響にも及ぶと警告する。
「問題はむしろ、すでに減速しつつあるアメリカ経済の中で、物価上昇がもたらす政治的影響にある。労働市場は弱含みとなっており、関税が家計や企業の足枷になっている」
政治的な代償も小さくなく、共和党はその多くを支払わなくてはならないだろう。共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は、高い原油価格と軍事行動の継続が重なれば、選挙で壊滅的な結果になると警告した。「高い原油価格は問題になると思う。そこにガソリンおよび原油価格の上昇や、イランを実力行使で爆撃し続けている状況が加われば、選挙は壊滅的なものになるだろう」
トランプに批判的な数少ない共和党議員、トーマス・マッシー下院議員(ケンタッキー州)に至っては「たった10日で、ガソリン価格は47セント、ディーゼル価格は83セント、イランとの戦争のせいで上昇した。これはアメリカ・ファーストではない」とXに投稿している。





