トランプ時代の「不確実性」を追い風に...中国が進める貿易体制の塗り替え
経済ブロックの構築
こうした戦略は、中国の姿勢の変化に表れている。
中国は4月にトランプ氏の来訪を控え、外交官らが世界中を回り、多国間主義と自由貿易を共に守ろうと呼びかけている。1月には、トランプ氏が当初50%の関税を課した小国レソトにトップ外交官を派遣し、開発協力を約束した。
また、国営メディアが14日報じたところでは、中国はアフリカ53カ国からの輸入品に対して「ゼロ関税」を実施する。一方、中国は人工知能(AI)を活用した税関システムを近隣諸国に提案し、商取引を支えるデジタルインフラの再構築にも取り組んでいる。
これらの動きは政策論文で示された目標を裏付けている。つまり、米国が圧力をかけてもパートナー諸国が中国とのデカップリング(切り離し)を選択できないほど、中国をグローバル貿易に深く埋め込むことだ。
CASS米国研究所の研究員は2024年の論文で、米国に対抗する上で「アンチ・デカップリング」を焦点に据えるべきだと記している。
中国は2017年以来、ホンジュラス、パナマ、ペルー、韓国、スイスなどの国々と貿易交渉を続けてきたが、現在は締結の加速に取り組んでいる。
中国の王毅外相は昨年11月、エストニア外相との会談で、欧州連合(EU)との自由貿易協定の可能性に言及し、欧州の交渉担当者を驚かせた。
その1カ月後、王氏は湾岸協力会議(GCC)に自由貿易協定の妥結を促した。今年1月には、スターマー英首相が習近平国家主席と、サービス貿易協定の実現可能性調査の開始に合意。ドイツのメルツ首相も、来週の訪中時に中国との「戦略的パートナーシップ」を模索すると表明している。
中国の王文涛商務相は、包括的・先進的環太平洋連携協定(CPTPP)への加盟を優先事項に掲げた。
しかし中国の巨大な貿易黒字がCPTPP加盟を複雑にしている。一部加盟国は、中国の内需低迷が続く中で、同国がアクセス改善を利用して安価な製品を海外にあふれさせることを懸念している。
オバマ前米政権下で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の首席交渉官を務めたウェンディ・カトラー氏はロイターに「巨大な貿易不均衡に加え、日本のような国々に対して現在行っている威圧的な措置を踏まえれば、中国が言ったことを実行するとは考え難い」と語った。
欧州の上席貿易外交官は、中国の働きかけは「純粋なプロパガンダ」だと一蹴し、EUが中国と自由貿易協定を結ぶ計画はないと述べた。





