トランプ時代の「不確実性」を追い風に...中国が進める貿易体制の塗り替え
写真は2025年10月、韓国・釜山で会談するトランプ米大統領と中国の習近平国家主席。REUTERS/Evelyn Hockstein
中国はトランプ米大統領の関税政策で生じた混乱につけ込み、将来にわたって米国の圧力から自国経済を遮断できるよう、グローバル貿易体制の塗り替えを図っている。
2017年以降に中国政府系の貿易学者が執筆した中国語の記事100本をロイターが精査したところ、こうした戦略が浮かび上がった。
学者らは、米国の通商政策を「リバースエンジニアリング(逆行分析)」し、米国の封じ込め戦略を無力化すべきだと、一丸となって訴えている。
ロイターの検証によると、中国はトランプ氏が生み出した不確実性に便乗し、中国の製造拠点を欧州連合(EU)、湾岸諸国、環太平洋の貿易協定など、世界の主要な経済ブロックに組み込む構え。その一環として、交渉が長引いている約20の貿易協定の締結を加速させる方針だ。
中国は今、その青写真を実行に移している。1月のカーニー・カナダ首相の訪中時に合意した、中国製電気自動車(EV)の関税引き下げを含む協定がその第1弾だ。政府当局者や貿易担当の外交官を含む10人への取材で分かった。
ある中国当局者はトランプ氏の破壊的な貿易政策について「相手がミスを犯しているときは、邪魔をするな」と語った。
ロイターが検証した記事は、中国社会科学院(CASS)や北京大学など、政府指導部に助言を行う機関が承認した2000本以上の貿易戦略論文から選び出したもの。中国が世界貿易において長期的優位を確立するためには、痛みを伴う構造変化を受け入れる価値はあるとの見方が、政府系学者の間で広く共有されていることが判明した。
西側外交官2人は、この戦略が成功すれば中国主導の新しい多国間秩序が築かれ、10年以上にわたる米国の通商政策が覆される可能性があると指摘している。ブリューゲル研究所のシニアフェロー、アリシア・ガルシアヘレロ氏は「中国には今、絶好の機会が訪れている」と述べた。
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